第42号 長谷川孝一

第42号 2010.3.26配信

 北欧の子育てに学んで森の幼稚園が盛況ですね。それを聞いてすぐに浮かぶ言葉は海の幼稚園です。地球の楽校では、これまで幼児クラスというのがありませんでした。幼児は所属していますが、小学校低学年について遊ぶという方針で、つまり昔あったミソッカスという立場で遊ぶ、ということで特別に受け入れをしていたのです。子どもの発達年齢に応じた発達支援を考えるとき、幼児期はとても大切な成長過程で、それは幼児教育の専門書をひも解くと一目瞭然なことです。そこで、昨年度から海岸における幼児教育の研究を日本財団のご支援を頂いて始めました。その名も「海の幼年舎」です。年中、年長、小学1年生を幼児期の最終ステージとし、海岸という自然環境下で私達は、これら幼児達へどのように成長支援を行ったらよいのかを明らかにしようという共同研究でしいた。

 海の幼年舎ではっきりしたことを一つお話しましょう。それは、幼児期の子どもは、海という自然に慣れ親しむための3段階のステージを持っている、ということです。まずお砂遊びができる砂浜。これが第1のステージ。この環境は、安定的な環境で、砂という自然物はお山や穴を作るなど、自在にコントロールができるのです。

 第2ステージは水際。リズミカルに寄せる波は最後は砂の中に消えていきます。そこは予測できない振る舞いと面白みが次々と起こる場所です。子どもが未知の世界へチャレンジを始めるための誘い水のような環境といえましょうか。ある子は、こんな遊びを発明しました。ビーチボールを沖に向かって投げます。落ちたその後に、次のよせ波によって自分のところにころころと戻ってきます。それが面白くて、ずっと波とキャッチボールを続けました。波のさまざまな性質をこの遊びの中から学んでいるようでした。

 第3のステージは砕け波のエリアです。波乗りを紹介しましたが、幼児たちは、波乗りにはあまり興味を示しませんでした。その代わりにボディーボードの板は、寄せてきた海藻を載せたかいそう屋さんになりました。波が少しあるときには、板の上に腹ばいになり波にゆらゆらと揺られながらニヤニヤし、足をばたつかせてはひたすら漂うばかり。

 このような段階性は、個人差はあるものの幼児の発達状態に応じて順に起こるもののようでした。この経験から小学校の低学年で体験していたプログラムの様子とだいぶ異なるものを私達は学びました。詳しくは、NPO地球のHPの公開レポートをご一読ください。

NPO地球の楽校HP
http://www1.kamakuranet.ne.jp/npochikyunogakukou/index.html

CNAC理事 長谷川 孝一・NPO地球の楽校 海の子森の子クラブ校長

2010年03月26日|キーワード:自然,教育,海