第12号「「今年の夏のサンゴの白化」~自然体験活動と環境保全」古瀬浩史

第12号「「今年の夏のサンゴの白化」~自然体験活動と環境保全」2007.9.28配信

 皆様、よい夏でしたでしょうか?海の活動は、どうしても暖かい時期に活発になるので、お忙しく過ごされたことと思います。

 暖かい海は海洋性アクティビティには歓迎ですが、暑すぎる海は困難な状況も生み出します。ニュースメディアにも流れたので、ご存じの方も多いと思いますが、今年沖縄を中心に、大規模なサンゴの白化現象が観察されました。念のために簡単に解説すると、サンゴの白化とは、高水温などのストレスが原因で共生している藻類がサンゴの体から抜け出てしまい、骨の色である白色になってしまう現象です。白化は、シャコガイやイソギンチャクなど、体内に藻類を持っているサンゴ以外の生物でも起こります。

 昔、「白いサンゴ礁」という歌がありましたが、白化したサンゴ礁は、サンゴ礁の生き物が死に尽くす前兆であり、本当に不気味な光景なのです。

 大規模な白化は1998年にも起きており、このときは一説によると世界中のサンゴの1/6が死滅したとも言われています。私は、1998年の夏、八丈島におりましたが、それほど水温の高くない八丈でも、イソギンチャクが白化していたのをよく覚えています(その時は、何が起きているのかまったく知りませんでした)。

 白化の状況は日々変化します。白化から死滅に至る場合もあれば、回復する場合もあります。今も変化し続けているはずです。そのような状況の変化は研究者や、衛星技術だけで把握できるものではありません。レクリエーションで海を訪れる人の多くの目がこの現象に向いたならば、そのプロセスをもっと把握できる可能性があります。

 自然体験活動の目的は様々でしょう。レクリエーションや心身の鍛練もあるし、もちろん環境教育もある。何を目的にしていても、環境と無関係ということはありませんね。環境系の団体だけでなく、海に関わる様々な人々といっしょに海洋環境について考える機会、楽しい自然体験活動を通じて、環境保全にも貢献できるような仕組み作りをCNACでも考えてみたいと思っております。

 ところで、来年は「国際サンゴ礁年」となることが決まっていて、ボランティアベースの活動が始まっています。CNACに参加されている皆様も何か活動されませんか?

((株)自然教育研究センター 古瀬浩史)

 以下ご参考まで。

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■2008年は国際サンゴ礁年です!
「知ろう、行こう、守ろう」を合い言葉に
サンゴ礁に関するさまざまな催しが行われます!
http://www.iyor.jp/ 

■白化情報いまも募集中
http://interpreter.ne.jp/umibe/cw.html

■白化のモニタリング調査プログラム
「コーラルウォッチ」のサイト http://www.coralwatch.org/ja/

2007年09月28日|キーワード:サンゴ