第31号「小学生のヨット授業」松本富士也

第31号「小学生のヨット授業」2009.4.24配信

 江の島を含めて“湘南“という言葉からはいろいろなイメージが湧いてきますが、湘南に住む人達がどれだけ湘南の海を楽しんでいるでしょうか?
また海を満喫している人達がどれだけそこに住んで居る人達のために海で楽しむ機会を提供しているでしょうか?そのような仕組みつくりは出来ているのでしょうか?
調べてみたことはありませんが、誇れるような数字や実績を残しているようには思えません。

 私が小学校の頃は、夏休みに臨海学校という名の海辺の泊まり込み行事がありましたが、今では学校の行事としてあまりないようです。

 湘南に住む子ども達がヨットに乗ったことも触ったこともないのでは、余りにも淋しすぎると思い、藤沢市の小学校の先生方の研修会に働きかけ、まず先生方にジュニアクラブに来て、ヨットに乗って頂き、子ども達にもヨットに触れるチャンスを作って頂きたいとお願いしました。
大変良いことですねと先生方はおっしゃるのですが、それではと実行してくださる学校はありませんでした。3年目だったと思います。体験にこられた片瀬小学校の3年生の担当の先生が、この話に乗ってくださり、校外授業として初めて子ども達を連れてハーバーにきて下さいました。
勇気ある先生もそれを許可した校長先生も女性でした。
天照らす大御神も海も船も女性名詞!
我が国は女性によって夜が明けていきます。

 それから毎年、片瀬小学校の3年生全員が、
 ① クルーザー仲間の協力によるヨット乗船体験、
 ② 保安庁の協力による海の安全教育と救助実演、
 ③ 地元専門家の協力で磯に住む生物観察と海を綺麗にすることの大切さの話し、
 ④ ヨットハーバーではどんな人がどんな仕事をしているかの見学に来てくれるようになりました。

 最初の頃は給食の為に飛んで帰っていきましたが、どうせ帰っても興奮してあと勉強にならないでしょう!
その位ならと最近では弁当を持って一日たっぷり体験していきます。
鳶に狙われて弁当を食べる場所探しも大変でしたが、必ず可愛い絵入りの礼状を貰います。楽しみながら海に関する体験教育が少しでも出来たと嬉しく思っているところです。
それにしても170人位の3年生全員が一日校外に体験に来ると云うことは学校にとって大変なことなんですね。子供何人に付き添いの先生が一人必要なので、少ない先生のやりくりで大変。おみやげに寄付して頂いたクッキー類をさしだしたら、アレルギーのある子がいるかも知れないので直接あげないでください!あとで調べて学校で配りますとのこと。先生方のご苦労がよく分かりました。
今ではこの小学校の名物行事になりました。早く3年生になりたいと1年坊主が言うそうです。嬉しいことです。今度はカヌーで、次はスノ-ケリングとサーフボード、ライフセービングなんてやりたいですね。
勿論無料奉仕で。

現在CNACが取り組んでいる“小学校長期自然体験活動、補助指導者養成”講習などを通じて、受け入れ態勢も、もっと充実して、更に内容の濃い楽しいイベントにしたいと思っています。

湘南で活動するマリンスポーツの団体も、ようやく横のつながりが出来てきて、協力しながら総合的な活動をしていこうとの気運が出来てきました。
官公庁からの指導ではなく、海で夢中になって活動している人達が中心になって、自分たちが自力で考え実行していくボランティア組織のネットワーク作りこそ大事なことだと思うのです。
そうなれば勇気ある女性の校長先生のもとで、海の総合学習がやれるかもしれません。そして一人でも多く海を知り、海が大好きで海を大切にしていく子ども達とその家族が増えていく町作りを、湘南の海から全国に発信していきたいと願っています。

CNAC理事 松本 富士也・NPO法人セイラビリティ江の島 代表

2009年04月24日|キーワード:ヨット