第71号「東日本の子どもたち海に向かう」海野義明

第71号「東日本の子どもたち海に向かう」2012.8.31配信

 本年5月に、5年勤めさせていただいたCNAC代表理事を退任し3カ月がたちました。三好代表理事の下、新体制で再出航しました。これからはいち会員として、CNACの発展と海の活動の推進に尽力したいと思います。

 昨年3月11日の東日本大震災は、大津波という海そのものが大きな災害をもたらしました。1年5カ月がたちましたが、復興にはまだ長い道のりが必要です。同じ人間として、特に海に関わるものとしてできる限り共に歩んでまいりたいと思っています。

 昨年3月以来、CNAC会員の皆様を始め様々な団体個人が救援・支援活動を継続されてきました。私たちも昨年は、救援支援物資の運送・配送を始め、漁業再生支援、海岸清掃などをさせていただきました。被災地沿岸の漁業が一歩一歩前進している姿を見ると大きな感銘を受け、逆に生きる力の源をいただいたかのようです。

 今年は、少し早かったかもしれませんが、津波被災地域の子どもたちが海に向かうお手伝いをさせていただきました。子どもが海に行くことには、「まだまだそんな状況ではない。」「3年たってからでしょうか」という声が多か
ったのですが、「おじいちゃんは海の向こうに逝ってしまったけれど、海を恨む気持ちにはなれない。いつになったら海に行っていいの?」という子どもの声、子どもの時間は大人より早いいつまでも海から離していては地域から離れてしまう、思い切って今年の夏は子どもたちを海に連れて行ってみよう、などの声を聞きました。また、気仙沼大島の小田の浜海水浴場が、宮城県で唯一海開きとなりました。

「反対意見も多かったけれど、どこかが口火を切らなければ」と。

 そんな、海での活動の再開に万が一にも水難事故が起きてはならないと、大槌町、気仙沼市唐桑町・気仙沼大島の3ヶ所で「子ども海あそびと海の安全教室」を開催しました。恐る恐る海辺に近づき、海水をなめ「しょっぱ-い。なつかしい-」と、それからは夢中でカニを捕まえたり、貝を探したり、海藻を引き上げたりと夢中で遊んだ子どもたち。気仙沼大島に夏休み帰省した高校生も夢中で波遊びをしていました。

「海水浴場になって良かった。海に入れるから」と。

 東日本被災地沿岸の海辺に漁師と子どもが戻りました。
来年は、もっともっと大勢の子どもたちと海に行きたいと思います。

海野義明
・CNAC理事
・NPO法人オーシャンファミリー海洋自然体験センター代表理事 
・災害支援海の仲間たち代表 http://oceanfamily.jp/

2012年08月31日|キーワード:震災