第54号「海の厳しさと楽しさを学ぶ活動としての海辺の自然学校を目指して」佐藤茂夫

第54号「海の厳しさと楽しさを学ぶ活動としての海辺の自然学校を目指して」2011.3.25配信

 初めに3月11日に発生した東日本大震災に被災され方々に心からお見舞い申し上げます。また、未曾有の大震災に対して、使命に燃えて活躍している多くの方々が、事故なく、任務を遂行されることを願っています。

 今回の地震は、千年に一度の震度とリアス式である三陸海岸で発生した予想を超える巨大津波、加えてこの二つによって引き起こされた福島第二原子力発電所で発生した事故に日本国民はもとより、国際社会からも多くの善意が寄せられ、復興への道程を歩き始めたと言えるのではないでしょうか。小生の勤務する学校でも定期のハンドベル演奏会の席上、緊急募金のアピールがあり、募金活動が職場、地域を問わずすすめられています。

 小生も中学一年生の時、新潟地震(昭和39年6月26日発生)に被災した経験者です。その時は珍しく試験勉強をして5時間目の試験に備えたのですが、お昼休みに地震が発生し、試験どころではなくなり、自宅は液状化現象で大きく傾き、父は職場から帰れず、ローソクの明かりを中心に家族で一塊になって生活した経験があります。また、NPOにとっては阪神淡路の震災はNPO元年と称されるような日本の社会構造に大きな転機をもたらした災害といえます。

 ☆上の写真は北九州市門司区の人工海浜公園の砂浜において、この秋実施された砂像づくりのスナップで、写真の左下は砂で作ったアンパンマンの顔です。今回は二回目のコラムですので、NPO法人玄海ライフセービングクラブで実施している「海辺の自然学校」についての報告と展望を述べます。私たちの海辺の自然学校は母体が当協議会の理事でもあり日本ライフセービング協会の理事長である小峯力氏が中心に全国的に展開している組織であるライフセービングクラブの我々は地方都市の弱小一クラブです。車の両輪として海辺の事故防止や救助活動とともに実施している青少年に対する教育活動としての海に学ぶ体験活動です。将来のライフセーバーを育てる?ことを長期目標に実施しており、文部科学省の推進している地域総合型スポーツクラブの海浜版で小生はその校長を勤めています。この学校は地域づくりの一環として地域での里浜作り協議会や街づくり協議会、水際線利用協議会等にも積極的に参画し、活動を展開しています。

 内容は子供向けのジュニアライフセービング教室を中心に砂浜を利用した砂像作りや磯場での生物観察・環境学習を中心にした「磯の教室」、「島の教室」、「里浜の教室」など年間を通じたアクティビティの提供を実施しています。

 これは下図のような基本的な方針の基、行政との協力体制をすすめています。
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 活動場所は福岡県内の芦屋町の海水浴場を中心に磯辺での教室や苅田港湾沖の無人島での教室など一年を通じて多岐にわたって実施しています。

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 今後の活動の展開は地域での活動を中心に、行政や住民との連携を図り、街づくり人づくりに寄与できるよう組織だった運営をしてゆくことです。私たちの小さな活動の点を強化し、点を結ぶように九州での海辺の活動団体とのネットワークづくりを九州で開催した全国フォーラムの時から模索していますが。現状ではまだまだです。時間をかけて、人間関係を構築しながら進めてゆきたいと思います。そしてそれを後方から応援し支援するCNACに期待します。

 今回の地震を通じて、火山列島日本では海辺で安全に楽しく過ごせること、それ自体が恵であり、感謝すべきことであると感じ取れる子供たちを育ててゆきたいと思います。水と空気と安全は無料(タダ)で手に入るという文化ではなく、与えられている恵みを実感(体験)できる、そんなアクティビティ作りを今後も目指します。また、海の安全面に自然災害を加えることも必要ではないかと再認識させられました。

 最後に当海辺の自然学校の活動報告の実数を報告書より掲載します。
少しは経緯をイメージして頂けると思います。海を体験するすべての参加者が海の楽しさとともに海を畏敬し、活かされている己を認識できる活動が実践できれば本望です。

 一日も早く被災された方々が復興されますよう祈念致します。

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CNAC理事 佐藤 茂夫 ・NPO法人玄海ライフセービングクラブ副代表理事:海辺の自然学校 校長

2011年03月25日|キーワード:震災,ライフセービング