第103号「海辺の原体験」竹内聖一

第103号「海辺の原体験」 2015.4.24配信

 僕は現在、千葉県南房総館山にて、地域の皆様と海辺の自然体験活動を行っている。しかし、生まれは東京だったりする。なぜ東京生まれの僕が南房総館山でこのような活動をしているのか?我ながら思う。

 僕は昭和39年品川に生まれ、小さい頃から釣り大好き少年で、釣りばかりしていた。小学校低学年の頃の東京湾奥は汚かった。ヘドロからぶくぶくガスが噴出していた。その頃の東京湾奥では釣りは出来ないと思っていたので、父と良く釣りに行ったのは湘南や三浦半島であった。

 それが高学年の頃になると近所の海がどんどん綺麗になっていった。
詳しくは調べてみないと解らないが、たぶん排水や下水の規制により、急速に綺麗になってきたのだと思う。そして、結構あっと言う間に生き物が帰ってきた。ボラ、サッパ、ハゼ、セイゴ、メバル、カレイ、アイナメなど。それが、なんとチャリンコ圏内で、たくさんの魚が釣れるようになったのだ。

 僕の幼稚園からの同級生に漁師の息子がいた。そいつとは、良く釣りに行った。そいつには年子の弟がいて、彼らおやじさんと兄弟との様々な経験が僕のその後の人生に大きな影響を与えるいるのは後から考えると間違いないと思う。

 当時の僕の原体験のひとつ。
 漁師であるおやじさんは、自分の息子らと僕や別の同級生たちを集めて春から夏の大潮に何度か船を出してくれた。そこには干潟があり、生き物がたくさんいて、アサリがたくさん取れた。アオヤギもいた。アカエイもいた。潮が満ちてきたら釣りをした。シロギスが釣れた。そして時にはおやじさんが天ぷらにしてくれた。超旨かった。そして、釣りにも飽きた頃、海に飛び込んで泳いだ。魚信や魚の味、海の様子や海の匂いは鮮烈な記憶で今でもリアルに思い出す。

 それは、漁師であるおやじさんによる、さながら「海辺の自然体験」であったのだ。そして、そういうことが出来る環境が当時の東京湾奥にあった。

 他にも、たくさんの経験をさせてもらった...ここでは書ききれない。しかも最初の問いかけの答えになっていない感じだが、まぁいいとするのだ。

 やはり、子供の頃の経験、体験は大きく人生に影響を与える。
 それは、僕にとっても大切だったのだな。と思う。

NPO法人たてやま・海辺の鑑定団 理事長 竹内 聖一
http://www.umikan.jp/

2015年04月24日