第75号「キャンプマジック」斎藤泰幸

第75号「キャンプマジック」2012.12.28配信

 私ども湘南自然学校は2000年4月に湘南茅ケ崎に開校し、子どもたちを対象とした自然体験活動(キャンプ)の企画・運営とキャンプリーダーの養成をしています。

 キャンプで子どもたちは満天の星空や雄大な海を見ながら自分の小ささに気づき、自然の美しさに感動し、そして生活体験やグループでの遊びを通して友達作りの方法や社会のルールを学びます。また、キャンプ生活では楽しいだけでなく子どもにとって苦しいことだってあります。それをみんなの力で乗り越えたときの喜びに勝るものはありません。「やればできる」という自己概念の形成は、まさに『生きる力』を養成することであり、子どもにとっての大冒険なのです。この「自然」「あそび」「冒険」をキーワードに4歳から中学生までを対象とし、日帰りから16日間のキャンプを行っています。

 プログラムを一部紹介すると日帰りでは「サーフィン」「スノーケリング」「シーカヤック」「地引網」「木登り」「野外調理」「川でガサガサ遊び」など。夏休みは2泊から15泊までの海や川でのサマーキャンプ、冬休み、春休みはスキーキャンプや雪遊びキャンプを行っています。

 最近感じることは、確かに昔の子に比べ元気がない、いろんなものに興味を示さなくなった、子ども本来の好奇心がないと。しかし、日を追うごとに、あるいは回数を重ねるごとに、元気になり、他人を思いやることができるようになっていきます。最初は自分の殻に閉じこもっていた子が、元気に海や川に飛び込んでいる姿はやはりいいものです。以前CNAC会員の長谷川さんがコラムで、子どもは「飛び込み」が好きだと記載されていましたが、私どものキャンプでも「飛び込み」は決して欠かすことのできない重要なプログラムとなっています。式根島のキャンプでは低学年は2-3mの堤防から、高学年になると7-8mはあろうかという堤防から飛び込んでいます。飛び込み一つとっても、できなかったことができるようになる。何かを一つ乗り越えることではっきりと
した成長がみられます。また、小さな子がなかなか飛び込めなかったのが、皆の声援で泣きながら飛び込みができた時など、見ているほうが涙してしまいます。

 キャンプでは様々な出来事が起こります。腹を抱えて笑ってしまうようなことから涙が溢れ出るような感動的な出来事まで、まさにいろいろなドラマが展開されます。だからキャンプは人を引き付けるのでしょう。このことを我々は「キャンプマジック」と呼んでいます。そうです、私もまんまとキャンプマジックにはまってしまった一人です。

湘南自然学校 校長 斎藤泰幸   日本アウトドアネットワーク運営委員長
http://www.shonan-ns.com

2012年12月28日|キーワード:キャンプ