第123号「コラム」千足耕一

第123号「コラム」2016.12.26配信

 CNAC理事の千足(東京海洋大学)です。最近では、東京に勤務していることからか、様々な行事や会議に出席させていただく機会が増えました。例えば、最近の日本潜水協会の会議では「後継者育成」がテーマとなっていますし、私たちの主宰する日本海洋人間学会において「船員の若年離職」が話題に上っています。日本高気圧環境・潜水医学会においては、「中高年ダイバーの健康」が話題となりシンポジウムが開かれています。それぞれの組織や団体は少子化、高齢化した社会の中で、それぞれに適応したシステムを模索しなければなりません。海の教育に焦点を当てると、最近の海洋フォーラムにおいて東京大学・田中智志先生の「海洋教育の理念について」を拝聴しました。海洋教育に関する哲学や原理、原則を再考し、理論的枠組みを提示する重要性を再認識しました。「海辺(水辺)の体験活動」について目を向けてみますと、近年ではSUP(スタンドアップ・パドル・ボード)が流行し、SUPを用いた市民レース・イベントも開催されるようになってきていることが鹿屋体育大学海洋スポーツセンター協力者会議でも発表されました。このような情報を直接得る機会を与えていただけることに感謝しながら、特に「直接」ということの大切さを実感しています。
上記のように、世の中には、たくさんの人がいて、たくさんの情報があるのだということがわかります。私が筑波大学の学生だった時代に恩師が読ませてくれた文章に、登山家の原真さんの「ヒマラヤ登山のリーダーシップ」がありました。そこには、情報を発する人間のいいかげんなこと、「いつ」「誰が」発した言葉かを読みとる必要性に言及しています。現代は、インターネットを含めて膨大な情報が世の中に溢れかえっています。それらを適切に取捨選択する能力が近年では特に必要とされているように感じます。
 CNACは、「海辺の自然から学ぶ」という尊い理念のもと、「海辺の自然体験活動」を活性化するための諸活動を推進するための組織です。尊い理念を掲げ、自らを高め、優良な情報を共有できる組織とその成員となれることをひとりひとりが目指したいものです。そのためにも、「直接」顔を合わせて、情報を得ながら、意見交換を実施する全国フォーラムは大切な事業でもあります。1月に東京海洋大学にて実施されます全国フォーラムでお目にかかれますことを楽しみに致しております。

CNAC理事/東京海洋大学大学院 海洋科学系海洋政策文化部門 教授 千足耕一

2016年12月21日|キーワード:海洋,教育