第37号 大塚英治

第37号 2009.10.30配信

今年、小樽では「地方の元気再生事業(内閣府)」を受託し、海を地域資源として活用することで地域の元気を再生する

「再発見!小樽うみ元気プロジェクト(http://www.otaru-umi.net)」

(うみプロ)をスタートしました。

CNACには自然体験、ライフセービング、環境、ヨットなど様々な活動のメンバーがいますが、うみプロも同様に「小樽の海を良くしたい!」思いを持つ市民団体、NPO、大学、企業の9団体で協議会を構成し、様々な取組みを行っています。

小樽市は斜陽の町と言われた時代を経て、小樽運河・ガラス・寿司に代表される観光都市となり年間700万人の観光客が訪れています。しかし、観光エリアの小樽運河とその界隈は観光出島と揶揄され、市民と観光の乖離が感じられます。確かに歴史的な街並みと小樽運河はノスタルジックで、ガラスもお土産としては良いでしょう、寿司もまずくはない。でもどこか偽物なのです。運河には船がなくただの水路となり、ガラスは今でこそ職人さんが育っていますが、私の家には小樽のガラス食器はありません、人気のネタはマグロやサーモン。

でも、「小樽運河、ガラス、寿司」どれもが海がなければ存在しないものなのです。開港110年を迎え近代土木遺産に指定される北防波堤に守られた小樽港の一部が小樽運河。漁具として重宝されたガラス浮玉を観光土産にアレンジし、運河の石造倉庫を改装したガラス店。新鮮な魚介類を売り物にする寿司。

うみプロは小樽の海に育まれた魅力ある「本物の地域資源」を、市民目線で再発見する過程で郷土愛を育み、人と人、人と地域の関わりを深める様子を「見える可」することで、周りの人たちを惹きつける魅力を高めていくことを目指しています。例えば、港と運河が一体となり身近なウォーターフロントとなる、くらしの中で使われるガラス食器、旬の地場魚介類が楽しめる寿司。でも、これってあって当たり前のことなのに、何で出来ないのでしょう?

その為には、既存産業による画一的な海の利用ではなく、点から線、線から面、そして立体へと地域資源を磨き深める作業が必要と思います。教育・環境・スポーツなどの様々な異分野メンバーが連携することが大切です。10月にはCNAC全国フォーラムが小樽で開催されましたが、小樽の海人たちと全国の海人たちの連携を図る良い機会となりました。ありがとうございます。

自分の暮らす町が海の恵みによって育まれたことを再認識し、地域の人々が素敵な海を語ることができる、そんな小樽になるといいな(大変そうだけど・・・笑)。

だって訪れる人に自信をもって、小樽運河やガラス、寿司を自慢したいじゃありませんか。

CNAC理事 大塚 英治・ほっかいどう海の学校  事務局長

2009年10月30日|キーワード:観光,海