第127号「SUPについて思うこと」青木勇

第127号「SUPについて思うこと」2017.4.28配信

SUP(スタンドアップパドルボード)のブームが続いている。
大阪市「中の島」の大川ではビジネス戦士が行きかう横で、悠々と水上散歩を楽しむ若い人たち、その上流の淀川ではSUPツーリングが、カヌーのツアーに代わってよく見かけるようになった。

海に目を向けると、若いカップルが1つのボードに乗りのんびりと、またSUPで釣りを、SUP上でヨガを、SUPをベースにしてシュノーケリングを楽しむ人と、あらゆる水上でSUPを見かけない日はない。

特に圧巻なのはSUPのマラソン大会である。毎年10月末に三重県熊野市で行われる大会には約200人が参加、ビギナーからエキスパートまでが一斉に沖合を目指し、又は8km先の「楯ヶ崎(たてがさき)」を折り返し帰ってくる。

この様にSUPはレジャーでも競技でも、自分自身の自由な楽しみ方ができ、開放感あふれ、個人でもグループでも楽しめる事だと思える。又それに加えてここまで普及したのはインフレータブル(空気注入)の折り畳み式により、購入しても小さく畳め保管しやすいので、日本の住宅事情にあっているのが最大の理由だと思われる。

しかしながら、ここにきて問題も出てきた。
先ず、SUPの操作である漕ぎ方を習得している人が少ない。SUPはシングルパドルで漕ぐので思うようにまっすぐ進まない。パドルを右と左とに持ち替えて漕ぐが効率が悪い。少し風が出たり波が立つと座ってしまうので余計に進まない。挙句の果てにSUPの上に椅子を乗せ漕いでいる。これではカヤックと同じである。

次にSUPの事故である。漂流して海上保安庁に救助されるのはまだましで、死亡事故も起きている。昨年の海上保安庁の事故報告でも確認できるので確認をしてもらいたい。

ここで気になるのがSUPはサーフィンに属するのか、カヌーに属するのかである。同じパドルスポーツに分類されるが、協会も違うし考え方も違うのである。例えばライフジャケット着用の習慣(義務)が、サーフィンには無くてカヌーにはある。安全のためにしっかりとした講習(JSCAで実施中)を受けて、ライフジャケットを着用、気象を充分に確認し、自分の技量にあったフィールドで楽しんでもらいたいと思う。

CNAC理事/(一社)日本セーフティーカヌーイング協会(JSCA)理事 青木 勇
http://www.jsca.net/

2017年04月18日|キーワード:カヌー