第19号「「自然を良く観て察する」 自然観察再考」2008.4.30配信
地球温暖化問題や、異常な勢いで生物の種が減少している生物多様性問題など、現在の地球環境には、いろいろ大変なことが起きています。ひとえに人類の活動のエネルギーが強大になってきていることが原因です。
なぜ、こんなことが起きるようになってきてしまったのでしょう。
それは、一言で言えば、自然を良く観て察することができなくなったからだと思います。
元来、自然界における酸素、炭素、水といった物質循環をはじめ、全ての生物が関係しあって成り立つ生物循環、生態系の機能(最近はこのことを生態系サービスという)無くしては、人類の生存そのものが成り立ちません。
人類は狩猟採集生活の時代にはじまって、農業・漁業・林業を営むようになってからは特に、自然を良く観て理解し(最近はこのことを環境リテラシーという)応・活用してきました。季節に合った播種をしなければ作物の芽が出ない。雪解けの変化を読んで、苗床をつくる時期を調節する。どの魚がいつどのようにしたら獲れるか。漁に出て行って安全かどうか海況変化を予測する。まさしく、自然を読んで生きてきました。
今の時代はどうでしょう。日本では70%以上の人が都会生活をし、自然の恩恵厳しさを直接受ける体験が極端に少なくなってきています。自然から食料を生産している農家や漁師と接することもありません。こんなに多くの人の生活が、自然を読むことと切り離されている時代はないでしょう。自然の劣化や悪化が読めず、環境の問題が起こるのは当たり前の状態になってしまっています。
もっともっと自然を観察しましょう。特に次代を担う子どもたちが自然に興味を持ち、自然と接することに喜びを感じる体験を増やしましょう。地球環境問題の長期的解決の一歩は、そんな自然観察の普及からはじまります。
NPO法人 オーシャンファミリー海洋自然体験センター 代表理事 海野義明