第39号 木村尚

第39号 2009.12.25配信

 今年も痛ましい水の事故がありましたね。何としてもなくしたいものです。
今年8月、横浜市海の公園でスノーケリング教室を開催しましたが、
となりで犬が遊んでました。犬でさえライフジャケットをつけているのですから、
人間はもっとちゃんと着なければいけませんよね。
9月には釣り人の安全教室を開催しましたが、全員から一言ずつヒヤリ・ハットを
聞いてみると結構危ない目にあっている人がいます。
他人の反省を皆で活かせるようにしたいところです。
その釣り人が、インフレーター式のライフジャケットのCO2カートリッジの耐用年数が
切れたときに、お風呂で試してみるというお話をしていました。お風呂で浮かんで
奥さんから笑われるそうですが。
皆さんも時々試してみるといいですよ。

さて、私の会の会員で坂部さんという方がいます。
面白いお話を作ってくれましたので、ご紹介したいと思います。

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とうさんと ぼくと ライフジャケット

ぼくのたからものは ライフジャケット
ライフジャケットを着ていると、いつまでだって海にうかんでいられるんだ

とうさんやかあさんは、「泳げるようにならないと、いちにんまえの海の男になれない」
っていうんだけど、海の水って、シャンプーみたいに目にしみるんだ。
海の水の味も、ぼくはきらい。
水泳きょうしつは、海みたいに遊べないし、生き物もいないし、いまいちだな。
海の水が、スポーツドリンク味だったら、泳ぐれんしゅうをしてみてもいいとおもうけど、
ライフジャケットがあるから、ぼくは、いいんだ。

海水浴。

砂遊びをして、たくさんバシャバシャやって、箱めがねで海の中を見て
かあさんのおむすびとウインナーとたまごやきをたべて
ぼくはいつもみたいに、ライフジャケットを着て海の上でひるね。
波がタプタプして、すごくいい気持ち・・・・

目がさめると、あれれ。
さっきとまわりがぜんぜんちがってて、波がもっとバシャバシャしてる・・・・
見回すと、砂浜がうーんと遠くにある。
えー?どうしちゃったんだろう?
ぼくは、海で迷子になっちゃったの????

ぼくの目の前に、黒い変なものがザブザブ波をたてて、すごいいきおいでちかよってきた。
「わーっ!」
それは、マスクとスノーケルをつけたとうさんだった。
とうさんは、ぼくをつかまえて「だいじょうぶか?」といった。
「だいじょうぶだよ。いきなりでてくるから怪獣かと思った」
ぼくがいうと、とうさんは、ゲンコツでぼくのあたまをゴツンとした。
それから、「つかまれ」といって、ぼくを背中にのせておよぎだした。

イルカにのって泳ぐのって、こういう感じかな。
とうさんの背中にのるのって、すごく気持ちがいい。
とうさんのスノーケルから、ときどき、海の水がふきだして、顔にかかるけど、
そんなに、目にしみなかった。
砂浜で、かあさんが、バスタオルをふっているのが見えたから、
ぼくも手をふりかえした。

そのばん、ぼくは、ライフジャケットといっしょにお風呂にはいった。
「ライフジャケットは、命の恩人だぞ」ととうさんにいわれたから、
いつも、かあさんに洗ってもらっていたけど、きょうは、ぼくが洗ってあげるんだ。

らいねんまでに、ぼくは、水泳きょうしつでまじめにれんしゅうして、泳げるようになろうときめた。
らいねんは、ぜったい、とうさんといっしょに、泳ぐんだ。
また迷子になっても、すぐ、とうさんにわかるように、ライフジャケットをきてね。

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来年こそ、水の事故をなくしたいですね。来年がみなさんにとって良い年でありますように。

CNAC理事 木村 尚・NPO法人 海辺つくり研究会 理事

2009年12月25日