第175号「海に囲まれている私たち」三好利和

第175号「海に囲まれている私たち」2021.4.30配信

 

2021年度もスタートして、4月を終わろうとしています。桜咲くにぎやかなスタートを飾ることはできませんでした。再びの緊急事態宣言が関西と東京に発令されます。しかし、既に長期化が目に見えてきた「コロナ」に関していつまでも下向きで進むわけにはいきません。ウィズコロナの時代を新しく考えていきましょう。
世界的には、バイデン新政権に変わったアメリカが、トランプ政権とは全く違う政策方針として、積極的な指導力を見せて、気候変動サミットを開催し、その中で、温室効果ガス排出量の規制に大幅な提案をしました。合わせるように日本も目標設定を引き上げる発表がありました。温暖化防止は世界の海を守ることにも当然、不可欠です。対立をしていた米中も、方向性は同じ方向に向かっているように見えます。新たな展開を期待せずにいられません。
話は飛びます。3月の体験活動で、大田区の大森海苔のふるさと館で、小学生 が海苔つけ体験をしました。おにぎりなどで食卓には見られている海苔について子どもたちは興味津々でした。一つは「海苔」がどのようにしてできるのか、どんな作り方をしてきたのか、という好奇心、もう一つは56年前のオリンピック開催のための交通整備のために東京都の海岸で海苔を作ることをやめてしまった歴史に対しての関心でした。生海苔が海の中でどのような状態なのか、食卓に出てくるためにどのような過程をふまえているのか、そして、昔と今の 工程での使う道具や機械の違いにビックリしていました。白黒の動画を一生懸命見ていました。また、手作業の大変さを自分も体験したことにより実感していました。動画で見た今の工場のすごさに再びビックリでした。海の恵みの「海苔」について、たくさんのことを考えた1日でした。もう一つの歴史では東京湾がどんどん変わってきたことに気づきました。
「海苔漁師さんかわいそう!」という子どもの声も聞こえました。しかし、何が正しいのかはなかなか決めることはできません。それはそれでよいのではないかと思いました。関東の人間にとって「東京湾」は様々な顔があるでしょう。
時代によってもどんどん変わっています。最近の東京湾はきれいになったとい う方も多いでしょう。魚資源が豊富になったいう方もいれば、少なくなったという方もいます。時代、時代によって、我々、「人」と「海」の関わりあいも変わるでしょう。重要なことは流されないことです。各自が認識をしっかり持つことではないでしょうか。責任を持つことではないでしょうか。
海に囲まれてる私たちは海とともに生きていくしかないと考えます。

CNAC代表理事/野外教育事業所ワンパク大学代表 三好利和
https://wanpakudaigaku.jp/

2021年4月27日|キーワード:海、体験、教育