第174号①「日本一周をとおして得たこと」江川昂弘

第174号①「日本一周をとおして得たこと」2021.3.31配信

 

昨年、大学卒業後から働いていた職場を退職したことをきっかけに、バイクで日本一周を行った。
九州を出発して、山陰から日本海を横目に見つつ北を目指す。秋雨前線に翻弄されながら進み、青森からフェリーに乗り北海道へ。雄大な景色や海の幸を堪能したが、まだまだ堪能しきれず、必ずまた来ると心に決め、本州へ下った。太平洋沿いを、絶景を楽しみつつ走った。途中、高速を走ることもあったが、バイクを安定させることに集中してしまうため、時間の許す限り下道で走ることを楽しんだ。九州に入ると、いよいよ旅の終わりが見えてきた。今まで知らない土地を旅行していたため、知っている土地に来ると安心した。驚くほどあっさり帰宅したかと思ったが、気づけば三か月旅をしていた。それだけ、あっという間の時間だった。

たくさんの場所に立ち寄ったが、主に海沿いを走ったため、海に関連した場所をたくさん見てきた。水族館もその一つ。
実は水族館は楽しむだけの施設ではなく、自然に興味を持つためのきっかけになるように作られている。珍しい生き物だけではなく、身近な海岸でみられる生き物を展示し、地元の海の豊かさを知ることができる。生き物だけではなく、展示場や解説パネルを見ることでわかることもたくさんある。地元で利用されている生き物の生態、食べ方、野生での現状など多くの情報を知ることができる。
また、外来種やゴミ問題などの情報を展示している施設も多くあった。ショーで楽しませるだけではない、水族館の役割を実感できた。スタッフの方々の生き物愛や熱意が解説パネルに表れている施設は多くあり、私はそういった解説パネルを見つけることも楽しみにしていた。

日本一周後、鹿児島のNPO法人くすの木自然館に入社した。NPO法人くすの木自然館が運営を受託している、環境省の国立公園展示施設「重富海岸自然ふれあい館なぎさミュージアム」で解説や展示の作成を行っている。一言に「海」といっても日本海側の海と太平洋側の海は違う。外海と内海も違う。錦江湾と他の海も違う。生き物も景色もそこにしかない特別なものと実感できた日本一周だった。この日本で唯一の錦江湾という環境を、特別だと知り、未来に残してもらえるように、これから活動したい。

NPO法人くすの木自然館 新入社員 江川 昂弘
http://kusunokishizenkan.com

2021年3月29日|キーワード:インタープリター