第234号「これまでの活動を通じて感じる『目に見えない境界と壁』」2026.3.27配信
みなさんは自然体験活動や環境教育活動を実施する際、関係するルールを完璧に全て守り活動を行えていますか?この問いに対して、僕たちとしての回答は「把握できているルールにおいては守っているが、完璧かと聞かれるとわからない…」という回答になります。勉強不足により把握できていないことが無いとは言い切れないのが現状です。
その一つとして、活動をする場所やエリアによって関係するステークホルダーが変わり、そのことによりルールも変わる。特に海辺の活動においては『目に見えない境界と壁』があり、それらを境にしてルールが変わることもしばしば…。
加えて、さまざまな要因によりルールが変更されることもある。活動をし辛い状況が増えていくのかな…と考える機会が多い2025年度でした。
2025年度はとても有難いことに、多くのお声がけ・機会をいただくことができ、さまざまな場所・活動・団体の方々にお会いすることができ、いろいろなお話を伺うことができました。活動場所や活動の目的、対象となるモノの違いなどによって、課題や悩みの種は人それぞれですが、改めて、「僕たちは偶然も重なり、本当に運が良かったんだな…」と感じています。2021年のコラムでも書かせていただいた「久々生海岸 里海プロジェクト」の取り組みについては正にです。
僕たちが2017年から働きかけ、2019年度から本格的に取り組む久々生海岸 里海プロジェクトは、現在、静岡県港湾局の皆さんと共同申請し、J-ブルークレジットの認証をいただいています。そして今年度は、地域生物多様性増進法に基づく自然共生サイトとして認定をいただくことができましたが、「同じことを別の海岸でも行ってください」と言われると、正直、これだけの短い期間でここまでの体制を作ることは難しいです。県が管理する港の中に位置する海岸であり、人の出入りが制限されほぼ活用されていなかった海岸であったこと。そして偶然にも社会の流れが重なり、海辺の環境保全の意識が高まり、多くの方が賛同し協力してくださったことにより、これほどの短期間でここまで活動を進めてくることができたんだと感じています。ですが、これまで取り組みを進めていくなかでも、何度も『目に見えない境界と壁』にぶち当たり、悩むことが多々ありました。僕たちの取り組みは、いろいろな偶然も重なり、運良くどうにか乗り越えてくることができましたが、これからのことを考えると本当にそれでいいのでしょうか…?
海だけに限らず、偶然や運が重ならなければ取り組みが進んでいかない状況では、地域の自然環境を守り続けることも、未来を担う子どもたちへの自然体験活動や環境教育活動の機会を維持・継続させることも、難しいように感じてしまいます。同時に、日本では人口減少が進んでいくことも考えると、僕たちのような活動に取り組んでくれる未来の担い手を育て、活動を引き継いでもらうこと自体も難しくなってしまうように感じます。
地域のため、自然環境のため、未来の子どもたちのためなど、さまざまな想いを持ち地域で活動している方々はたくさんいます。活動を継続できる体制を作るため、担い手を育成していくため、それにより地域の未来を明るいものにしていくため。
そして、同じような苦労を未来の担い手にもさせず、活動を進めてもらうためにも、さまざまな想いを持ち地域で活動し、さまざまな経験を持つ方々がいる今のうちに、さまざまな「これまでのあり方」を見直し、必要に応じて一新させ、業種や分野にとらわれず、みんなで支え合い・取り組み合い・盛り上げ合い・価値を高め合っていくことができるような協働体やそのための中間支援的な体制が、これからは必要になってくるのでは…と感じています。曖昧な『目に見えない境界と壁』は明確にし、守るべき『目に見えない境界と壁』はみんなで共有し、みんなで守る。現代社会にとって必要のない『目に見えない境界と壁』はみんなで取っ払い、みんなで一新させていく。そんな希望の持てる業種・業界になってほしいと願ってやみません。
CNAC理事/NPO法人Earth Communication代表 川口眞矢
https://earth-commu.jimdofree.com/
2026年3月19日|キーワード:連携、体験



