第212号「小さな子供の記憶」小野太士

第212号「小さな子供の記憶」2024.5.31配信

一般会員の小野と申します。 コロナ禍も和らぎ、様々な活動が各地で戻ってきているのを見かけます。
少し前にいた熊本でも、干潟を体験し、有明海の生き物にふれあう自然体験もようやく参加希望の方をできるだけ受け入れられるようになってきたところでした。
初めて参加した小学校低学年や幼稚園の子供たちは、最初のうちは探り探りでしたが、そんな心配事はやっぱり必要なく、ふと見返したときにはすでに後でお母さんやお父さんの後片付けに苦労する状態になっていて、その光景を見ていておかしく、健全だなと、静かに思うものでした。
と言っている自分ですが、端から見ているだけではやっぱり収まらない気持ちがあって、周りには子供たちのためにと言い訳をしつつ、干潟に向かって突っ込んでいったものです。
もちろん、ただ干潟に突っ込んでいったわけではなく、きちんと沖シジミやいろんなカニ、そして運良く手づかみで捕まえたシャクを成果に、戻る際にそっと近くにいた親子のバケツに追加してあげました。それとレスキュー!だいたい1~2人ほど干潟にはまってしまうので、救出はマストでやってました。ただ本人は楽しそうなので何よりですが。
体験会の最後には、生き物観察の振り返りがありますが、自分で探し見つけて採取した生き物が何なのか、前のめりでみんな興味津々で、つられてお母さんやお父さんも聞かれていて、いい機会がまた戻ってきたんだなと感じていました。
さて、題目の「小さな子供の記憶」なのですが、こんなに身近にあったと、感慨深いことがありました。
私の子供が小さい頃、お台場の海、横浜の水辺、八景島に葉山の海、盤州干潟などなど、いろんな海辺に一緒に行って、また各会場で開催された土木のイベントにも行って、いろんな機会を体験した記憶があります。
いつしか成長し、大学生のある時、私と同じ世界に進む考えを知りました。
その考えのきっかけは、そう、小さな子供の頃の記憶。
アサリに関する研究を経て、この4月より職場の先輩後輩となりました。
最後に、今は熊本を離れましたが、体験した子供たちが、またこれから体験する子供たちが、その記憶を大人へ成長した自分自身に繋げていってもらえたら嬉しいです。また、会員の皆様が取り組まれていることが、未来につながれていくことを期待しています。 「小さな子供の記憶」を大切に。

国土交通省九州地方整備局西之表港湾事務所 先任建設管理官 小野太士
(元国土交通省港湾局環境整備計画室係長)
2024年5月20日|キーワード:干潟、体験