第185号「きれいな海を守る心を広げるためのプロジェクトの価値」鈴木吉春

第185号「きれいな海を守る心を広げるためのプロジェクトの価値」2022.2.25配信

亀の子隊の鈴木です。CNACにお世話になって、10年以上が過ぎると思います。初めての参加は佐賀県唐津での全国フォーラムでした。今日まで多くの刺激やプログラムの示唆を受け、亀の子隊の活動に生かしてきました。
2016年から理事もやらせていただいています。東京から離れた愛知県渥美半島では、簡単に会議には出られず、総会や全国フォーラムを含めた年に3回ほどの理事会に参加するのが精いっぱいで役に立たないなぁと思っているところです。
コラムを依頼され、前回は亀の子隊の成り立ちのようなことを書いた気がします。今回、何を書こうか迷いましたが、亀の子隊のことで活動報告や活動発表をするときに説明をしている活動の価値について書こうと思いました。
愛知県の東の端にある渥美半島の先端に近いところで活動をしているわけですが、コロナ禍においてなんと参加者が増えています。それは、単に都会から離れた自然の中の活動ということだけではなく、これまで続けてきた活動の価値が認められつつあるのかなぁと思うわけです。
亀の子隊の活動の目的は、「海の環境を守るための自然美化活動プログラム」としての西の浜クリーンアップ活動と「海の大切さ・よさを知る体験的環境学習プログラム」としての「海の環境を学ぶ会」。そして、『気づきを伝える広報プログラム』の活動を通して「海のよさ」「海の大切さ」を感じることにより、永く将来にわたって海を大切にしていくことを願い、「きれいな海を守る心を育て、きれいな海を守りたいという心を広げる」ことです。
西の浜クリーンアップ活動は、ゴミと格闘しながら「きれいな海を守りたい」という気持ちが高まります。これまでも何人もの子が作文に亀の子隊の西の浜クリーンアップ活動をテーマにして書き、いろいろな賞を受賞しています。今年も愛知県東三河地区協議会「明るい社会づくり推進実践体験文」に応募した中学生の作文が、「愛知県教育委員会長賞」と「会長賞」を受けました。二人とも西の浜クリーンアップ活動に参加して感じたことをモチーフに書いています。「愛知県教育委員会長賞」を受けた子は、最後に次のようにまとめています。
「きれいな海と、そこで生きるたくさんの生き物たちを守るために、日ごろの自分の生活を見直し、少しでも環境を守れる行動をしていきたいです。」
年間7~8プログラムを実施する「海の環境を学ぶ会」は、プログラムごとに、その学ぶ価値があります。海の生き物と触れ合う、海を楽しむことから「海のよさ」を学び、海からの贈り物として魚や貝、塩にふれ、味わうことで「海への感謝」を学び、「命」を感じることで「海の大切さ」を学んでいます。
この時大切にしているのは、参加者の(主に子ども)の感性です。体験を通して五感で判断することです。それは、いつの間にか問題解決能力を高め、豊かな人間性を育て、課題や問題に立ち向かうための生きる力を育むものであると思います。
この海の環境を学ぶ会の終わりに子どもたちに問います。「なぜ、こんなにたくさんの生き物がいるのでしょう?」「なぜこんなに美味しい魚たちがいっぱいいるのでしょう?」「なぜこんなに美味しい潮ができるのでしょう?」すると、かえってくる返事は「海がきれいだから!」です。この一言を聞くと「海への感謝」「海の大切さ」の思いを感じ、つい顔が緩みます。
今後、コロナのような感染症に立ち向かうための免疫力を高めるといわれる自然体験活動はこれまで以上に求められると思います。先日「海洋教育学会」が誕生するという話を聞きました。CNACの活動が重要性を増してきます。
亀の子隊も、今年1月に愛知県から認証を受け「特定非営利活動法人」としての活動が始まります。
これからも「きれいな海を守る心を広げるためのプロジェクト」を充実させていきたいと思います。


CNAC理事/NPO法人環境ボランティアサークル亀の子隊代表 鈴木吉春
http://www.kamenoko.org/
2022年2月14日|キーワード:教育、体験