第180号「北海道だからの、海体験」大塚英治

第180号「北海道だからの、海体験」2021.9.24配信

 

 北海道で泳ぐことはできるのですか?と、よく聞かれます。もちろん北海道にも海水浴場はありますし、ダイビングもSUPもできます。今年の猛暑では表面水温は27℃を記録した場所もあり、人混みをさけて海に遊びに行った人も多かったようです。そして、北の海でなければ体験できないこともあります。例えばオホーツク海に到来する流氷。北半球で海氷が到達する最南端の地が北海道だからです。かつては海を閉ざす邪魔者と言われた流氷は、観光や豊かな漁場に役立つと今では人気者ですし、良き環境教材でもあります。
 そんな、流氷をテーマとしたイベント「日本財団・海と日本プロジェクト オホーツク流氷調査隊」に総合講師として8月に参加しました。地元テレビ局と連携し海の環境を学ぶイベントで、今年で6年目を迎えます。ホタテ大産地の紋別市を会場に北海道大学と東海大学の研究者から海洋学のレクチャーを受け、流氷科学センターで流氷を触り、海中展望台から緑色の濁った海中とプランクトンを観察、漁協ではセリ見学、オホーツクは酪農地帯でもあり牧場のバイオマスプラント見学など、地球の海洋大循環から気候、地域産業をアカデミックに網羅する2泊3日の体験学習ですが、一番の人気プログラムはSUP体験。やはり体験は印象深く残るのですね。楽しいアクティビティーとアカデミックな学びの掛け算が大切と実感します。
 そして、この企画は沖縄ともジョイントしており10月には北海道から沖縄を訪問し、地元の子供達とのサンゴの勉強をします。さらに、来年2月には沖縄の子供たちが流氷を学びに北海道を訪れる相互交流。東シナ海とオホーツク海は黒潮から分岐する対馬暖流でもつながり、かつては北海道の水産品が「長崎俵物」として北前船で運ばれ、琉球王国を経由し中国と交易されていた歴史もあります。
 コロナ禍であるからこそのオンライン&リアルな交流から、地球サイズで海を担う子供たちが育ってくれることを期待しています。

「海と日本プロジェクトinガッチャンコ北海道」のページ

CNAC理事/(株)沿海調査エンジニアリング代表取締役社長 大塚英治
2021年9月13日|キーワード:体験、連携、教育