第178号「海開き中止!に考える」池上正春

第178号「海開き中止!に考える」2021.7.30配信

 

 皆さん、大磯町をご存じでしょうか?神奈川県の相模湾沿いに広がる町で、伊藤博文はじめ多くの明治の元勲が別荘を建てたことでも知られています。横浜勤務時代に、大磯港を賑わいの場にして町の活性化につなげたいという、中﨑町長さんにお会いしたことがあります。その後、大磯港は「みなとオアシス」に指定され、今年、大磯港に新しい賑わい施設が開業したようです。楽しみです。
 さて、大磯町について触れたのは、「大磯海水浴場が今年も海開きを断念」という記事が気になったからです。日本の海水浴発祥の地とも言われる、大磯の海水浴場が2年続けて海開きしないというのです。大磯の名前を全国区にしている「大磯ロングビーチ」のプールは、対照的にこの夏営業。プールは密集回避をコントロールできるが、海水浴場では難しいという判断というのです。
 この記事を読んで、バカの壁で有名な養老孟司さんの話を思い出しました。「人間の意識(脳)はすべてをコントロールしようとする。例えば、都市は人間の意識の産物で、思った通りにならない、自然(植物)や土(田舎の象徴でもある)を徹底的に排除したがる。少子化現象も思い通りにならない子供を望まない意識(脳)のせい)」。とすると、人間の「意識」の判断だけに委ねたら、危険性を100%制御することが難しい「海」ではなく、人工的なプールを選択するということになってしまいます。
 養老先生の主張は、もちろん逆で、「『意識』のみで決めようとするからおかしな結論になるので、『身体』を取り戻すべき」です。現代の参勤交代(都市と田舎で交互に暮らす)も提唱されています。
 CNACが勧める海辺の自然体験活動は、意識だけの世界観から抜け出す体験を提供できるよい機会になるのではないでしょうか。ただ、今の都会人は、海に触れた経験もない人も多いですから、単に海で遊ぶことすら苦手です。CNAC会員の皆さんのように海をよく知る方々が、少しサポートすることで、子供たちの海の自然体験活動を手伝い、意識に傾きすぎた我々の生活を、心と身体のバランスの取れたものに取り戻す、絶好の機会にできるように思います。
 海は、プールとは違い、磯の生き物、磯の香、潮風・・・・五感で感じるものがたくさん。来年こそは海開きができますように!

CNAC理事/(株)日本空港コンサルタンツ 池上正春
2021年7月15日|キーワード:安全、体験