第163号「台風15号被災から7か月」神保清司

第163号「台風15号被災から7か月」2020.4.30配信

 

副代表理事を務めております千葉自然学校の神保です。
今私は、静まり返った千葉南房総のオフィスからこの原稿を書いています。

私の運営する大房岬自然の家は4月3日に利用停止となり、施設のある県立自然公園の駐車場も4月25日から閉鎖となりました。最近は晴天の日が続きますが、人影は無く、風の音と波の音、イソヒヨドリの美しいさえずりしか聞こえません。
遅咲きの八重桜が満開で、世情の大変さがウソのようにまるで天国のような風景が広がっています。

思い返せば7か月前、台風15号の猛烈な風に吹き飛ばされて壊滅した町と森が目の前に広がっていました。台風が過ぎ去った早朝「何とか生き延びた」という顔で皆が呆然と朝靄の街を彷徨っていました。しばらく事業再開は出来ないだろうと諦めた私たちは、1000名を超えるボランティアや支援者の方々に励まされ、
共に復旧作業に当たり2か月後なんとか事業を再開することができました。高台にある私の仕事場から街を見下ろすと、未だにブルーシートがかかった屋根が目立ちます。年が明けてから全国から屋根屋さんが駆け付けはじめ、徐々に一般家庭の屋根修繕工事は進んでいるようです。農地に目を向ければ特産の枇杷農家、花農家さんは様々な支援を受けながら再興を目指されていますが、倒木の処理や土砂崩れ、人手不足に悩まされているところも有るようです。

そんな中でのこのウイルス禍。
あの台風被災時と重なっていたらと思うと身の毛もよだつ思いです。しかしあり得ない話ではないですよね。現に最近は関東近郊でも地震が頻発しています。

「備えよ!常に」というボーイスカウトの教えが頭に浮かびます。自然を相手に活動してきた私達のリスクマネジメント教育にウイルス対策のページが厚くなるのは間違いありません。

しかしながら、制圧したりやっつけるというよりは、ウイルスともうまく付き合うという思想が地球人には必要なのではないか?と思うこの頃です。

 

CNAC副代表理事/南房総市立大房岬自然の家所長 神保清司
http://taibusa.jp/

2020年4月30日|キーワード:災害