第155号「水の事故と“ういてまて”」中島正雄

第155号「水の事故と“ういてまて”」2019.8.30配信

 今年の夏は水の事故ニュースが多かったような気がしています。
事故は台風の影響ばかりではないようにも思えます。川遊びで不明になったり、海で子どもを助けに行った大人も亡くなるとか、非常に残念でなりません。
(一社)水難学会 斎藤会長のWeb記事に「沖に流されたら、どうして大人が犠牲になる?そうなるのが水難事故だ」という記事が載っていました。

▽(一社)水難学会 斎藤会長の記事
https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20190811-00137980/

内容は以下のとおりです。
8月10日お昼過ぎ、K県M市の海水浴場で、35歳の女性が甥を助けようとして溺れて亡くなりました。また、同日午後4時前、S県K市の海岸で男性と男児が流され、男児は救助されましたが、男性は亡くなりました。20年くらい前なら、子どもも大人もこのような水難事故に遭うと両方とも亡くなっていたのですが、ここのところ子どもが助かり大人が亡くなる事故が頻発しています。

何故でしょうか。
理由は、「子どもが浮いて救助を待てるようになった」。
全国の約8割(水難学会推定)の小学校で行われている「ういてまて教室(以前は着衣泳と呼ばれていた)」では、水難事故に遭った時に浮いて呼吸を確保して救助を待つ技術を教えています。各学校の教員、水難学会指導員が手分けして、夏休み前の6月から7月に全国で一斉に行われています。そこでは、浮くことによって呼吸ができることを重点的に教えています。ですから、水難事故に遭うと子どもは無理して泳がず、呼吸を確保して行動できるように一定の知識を持っています。
という記事です。

また、記事の続きでは、警察庁が毎年6月に発行している水難の概況によれば、平成30年中には子どもの生還率は88%に達し、その一方では大人の生還率は50%を下回ります。大人の生還率が低迷しているのは、「救助に行かなければならない」という思いに尽きるのではないかと推測しています。まさに8月10日に起こった水難事故はそれを物語っています。

CNACが勧めている「海あそび安全講座」でも“ういてまて”を実践しています。
少しでも水の事故が無くなるように「海あそび安全講座」を勧めましょう。

◎今年の「海あそび安全講座指導者養成セミナー」開催の様子
http://www.cnac.or.jp/posts/activity20.html


NPO法人海に学ぶ体験活動協議会 事務局長 中島正雄

2019年08月27日|キーワード:安全