第153号「なぜ私たちは『海辺つくり』を名乗るのか」古川恵太

第153号「なぜ私たちは『海辺つくり』を名乗るのか」2019.6.28配信


 この度、海辺つくり研究会の理事長を拝命しました。故横浜康継初代理事長、鈴木覚前理事長の後で荷が重いですが、木村尚事務局長を始めとする理事・会員各位に支えられながら、身の丈に合った立ち居振る舞いをしようと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
海辺つくり研究会は、日本の自然が作り出す原風景、人と自然との関わり合いの中で、自然の恵みを享受し、維持し、継承して数千年の歴史に鑑み、近年、失われつつある海辺を取り戻し、自然と人との良好な関係を再び作り上げていくことを目指して、2001年に設立されました。主な活動としては、アマモ場再生に関する事業、干潟再生や生物観察に関する事業、夢ワカメ・ワークショップや、各種講演会・フォーラム・研究会などへの支援事業を通して、沿岸域の自然環境保全に関する普及啓発および人材育成などの活動を行っています。
さて、なぜ私たちは「海辺つくり」名乗っているのでしょうか。本当の答えは、設立に携わった方々に聞いてみなければなりませんが、私個人の解釈を述べさせてもらうならば、「人と自然の係わり」を修復するための手段として「海辺つくり」を選択したということだと思っています。ここで、大切なことは、人は自然の一部であり、一体であるということです。そして、「海辺」はそれらを包含する場であり、それらの活動のステージを表す言葉であるということです。
すなわち、私たちは、行政、市民、企業、研究者などをつなぐことで、アマモ場や干潟、水際の公園などを作り出し、その場が生態系として自律していくことを見守り、CNACのように、その場で人々が繋がり活動するステージを盛り上げていく応援団です。謙虚な自然の社会の観察者であり、躊躇しない行動者でありたいと思います。
今、私個人が力を入れているのは、江戸前ハゼの復活プロジェクトです。1960年代、東京湾でのハゼ釣り船の釣果は、1億匹と推定されていました。それが、1980年代には1000万に、2000年代には100万となり、20年に一桁ずつ減ってきています。2020年には、どんな状況になっているのでしょうか。それが望ましい人と自然の関係を反映していることを願って、マハゼの棲み処(すみか)調査を2012年から実施しており、本年も継続して実施いたします。どうぞ、https://www.meic.jp/mahazeを覗いてみてください。

NPO法人海辺つくり研究会 理事長 古川恵太
http://umibeken.blue.coocan.jp/

2019年6月25日|キーワード:干潟,連携、アマモ