第30号「おいしそうな海藻食から始める体験学習」2009.2.27配信
先日、若狭湾のある施設で指導者研修の講師をしてきました。
冬の日本海でもできることがある!ということを強くアピールしようと近くで活動している友人に声をかけての一日仕事でした。午前は、朝からワカメ漁師の収穫作業を海上で見学し、後はワカメ干し実習。漁師さんとの掛け合いでは、地方により、いかだの形状やワカメの干し方にずいぶん違いがあるのには驚きました。私の住む鎌倉のスタンダードが頭に入っているので、ところ変れば品変る、驚きの連続でした。これも受講者には新鮮な体験であったと思いますが、私たちにとってチャレンジングなことは、ワカメの食をテーマにした午後の後半部でした。海藻押し葉をいつものように実習した後、日本人の海藻食文化についてレクチャーしたのです。その内容は次の通り。
日本人は、先史時代から海藻を食べていたという話、万葉の昔に、海藻に海水を付けて天日干しをして塩をつくっていたこと、これは万葉集にたくさん読まれています。そして献上物として多くの種類が記録に残されていること。そして何より圧巻なのは、現在でも多くの海藻料理が作られ、それも何種類もの海藻が食材として使われていることでした。特に日本海側にその傾向が強くあり、資料として配った京都府水産センターが出しているカラー刷りのリーフレットには、50種類もの海藻料理が整然とレイアウトされています。さらにべつ刷りでは、地域ごとの食べられている海藻の名前、簡単なレシピまでついて。まさに海藻ムーブメントですねこれは。
例えばみなさん、あの「ホンダワラ」や「アカモク」は食べるとメカブのようにおいしいって知っていましたか?当日皆で食べてみましたが、これはいけるんですよ。三浦半島の三浦漁協では、昨年からこれが産業種として指定され、出荷が始まっているそうです。
今まで脇に追いやられてあった、食から入る体験教育、環境教育。これぞまさに海の文化の香りがプンプンする食のプログラム、これからの展開が楽しみになりました。
CNAC理事 長谷川 孝一・NPO法人地球の楽校