第124号「第11回全国フォーラムを終えて」三好利和

第124号「第11回全国フォーラムを終えて」2017.1.27配信

2016年度の全国フォーラムが久しぶりの都内となり、東京海洋大学を会場に1月21日、無事終了しました。翌日は東京湾の海辺の文化体験エコツアーとして、芝浦運河、天王洲運河、東京港をチャーター船で巡り、海面から今の東京湾、東京港の歴史と文化を体験することが出来ました。遠くからも含めて、多くのご参加ありがとうございました。

全国フォーラムでは「自然体験活動の醍醐味 - 海の底力をはかる - 」がテーマでした。基調講演では笹川平和財団海洋政策研究所の古川氏に海の底力を海の恵みとしてとらえた場合に、海の生態系サービスという考え方に基づく仕組みや構造を説明いただき、実際の運河やお台場、多摩川の河口域、横浜の人工の磯公園で行われている「海の恵み」を理解することができる体験活動についての報告をいただきました。重要事項としては、まずは海の水が動く環境にあること、次に生き物の生息域が多様になり、そして人の関わりがあることにより、海の恵みが豊かになることが理解できました。

次の事例報告では地域での活動として、品川区の勝島運河で活動している勝島運河倶楽部、ユネスコスクールに登録されている小学校の学校教育にESD教育の一環として、海の豊かさを知る授業として、横浜の人工磯公園を活用している報告、地域ではなく、組織として、国立の青少年教育施設の中で、海型と呼ばれている拠点施設で積極的に海辺の体験活動の実施している報告をしていただきました。

最後は事例報告者を交えて、理事の東京海洋大学千足先生の進行役でディスカッションを行いました。会場から寄せられた質問に答える形式で、各自の現状やお考えでお答えいただきましたが、共通するところもあれば、それぞれの立場や環境による違いも明らかになるご回答でした。熱心な意見交換が行われ、予定の時間があっという間に過ぎたフォーラムでした。その後の交流会にも多くの参加をいただき、夜まで熱い議論が交わされていました。

翌日の体験ツアーは快晴の中、日差しが心地よい陽気の中、チャーター船は芝浦運河を出発しました。今回は以前、フィッシングカレッジの関係でご協力いただいた港区の海で活動されている、認定NPO法人海塾の設立者の榎本氏にガイド役をお願いしました。出港から下船までの間、休むことなく案内をしてくれました。運河周辺部の新しい街づくりの歴史、その中での問題、泳げる運河も目指して、都市生活では重要な下水問題への対策、防災のために地域の自治の復活、東京港の変遷など、歴史と現在について、多岐にわたりました。今話題の豊洲市場の沖へも行きました。海面から見る東京の様子は全く違う顔でした。下船後は三田駅近くの食事会場に場所を移動して、榎本氏に対する質問タイムと各自の感想発表のミーティングを行い、昼食を取り解散になりました。また、陸路天王洲地域へ足を延ばした方もいたようです。

改めて、海から地域が変わっている状況と海と人とのかかわりが深いことを知りました。

参加者も驚いていましたが、先進国G7の首都で川でなく海に面している都市は東京だけです。島国日本ということだけなく、海にある首都としての東京をもっと考える必要があると実感しました。海洋都市東京で開催されるオリンピックに向けても、何か動きを見せる必要がありそうです。ちょっとワクワクしてきました。私たちCNACの新たな目標も感じた体験ツアーでした。
2017年度も皆さんの期待に答えられるように頑張ります。

CNAC代表理事/野外教育事業所 ワンパク大学 代表 三好利和

2017年01月26日|キーワード:全国フォーラム