第106号「閉鎖性海域環境保全会議(エメックス会議)について」2015.7.31配信
閉鎖性海域とは、周囲を陸地に囲まれた内湾・内海などを表わしており、外海との水の交換が行われにくいために汚染物質が蓄積しやすく、水質の改善や維持が困難な性質を備えている。
閉鎖性海域の環境破壊が大きな問題として認識されるようになり、瀬戸内海、チェサピーク湾、バルト海、地中海などが抱える共通の課題であることから、これらの海域をもつ世界の国・地域の人々が集い、1990年8月、神戸において「閉鎖性海域の環境の保全と適正な利用をめざして」をテーマに、第1回エメックス会議が開催された。会議の成果は「瀬戸内海宣言」として集約され、その実現に向けて、世界各国の関係者が互いに連携をはかり努力していくことが誓われた。
エメックス会議では、第6回の会議(2003年タイのバンコク)から「青少年環境教育交流セッション」(SSP:Students and Schools
Partnership Session)が設けられ、青少年による環境保全や環境教育の活動についての発表や意見交換が実施された。
2014年の第10回エメックス会議(トルコのマルマリス)でのSSPには日本から2名の女子高校生(岡山・尼崎)が参加し、ポスターセッションにおいて瀬戸内海の海底ゴミに関して発表した岡山の高校生がSSP特別賞を受賞した。
「青少年環境教育交流宣言」(SSP宣言)が作成され、閉会セッションにおいて、日本からの女子高校生が朗読した。―「私達は変化の時代の世代である。現在私達にぼんやりと見えかかっている課題に対して新しい教訓を適用する方法を見つけるには私達は未熟である。広範なコミュニティの経験に眼を向けて環境問題にアプローチすることが大切であり、私達がその方法を学べるように指導して下さい。そして環境問題に対して成功の可能性があるものと信じて取り組む私達を支援して下さい。」との内容であった。
日本の閉鎖性海域における水環境保全施策は、「美しく、多様な生物が生息でき、賑わいのある豊かな海」の実現に向けて進めていくなど、新たな段階をむかえている。今後は、将来をになう青少年の環境への関心と、それを支援する大人の青少年に対する環境教育の必要性が求められている。
後藤 安子(CNAC一般会員)