第47号「フィールドにおける安全管理の役割」2010.8.27配信
フィールドプログラムには事故のリスクが絶えず付きまとう。指導者は絶えず安全に配慮をすべきではあることは、いまさら言うまでもない。
事故を起こさないために、
起こりうる事故を想定した装備する
フィールドワークに適した気象チェック
参加者のレベルとプログラムの難易度を慎重に判断
スタッフの経験とスキルの向上
参加者の体調管理
参加者へのリスクの告知
事故発生時の緊急プラン
保険
などなど指導者が準備しなければならないことは多い。
近年はダイビング事故裁判で、指導者の責任を重んじ、指導者が過失(刑事責任)を問われることが多くなっている。これは粗悪なプログラム運営を行っている業者が、過去に多くの事故を起こしてきたことによる、社会の評価が厳しくなってきた証拠である。
はたして
安全管理はすべて指導者の責任なのか?
安全を確保するには、参加者の心構えや装備・スキルなども重要である。
いわゆるオウン・リスクである。
すべての事故を指導者の責任にすると、フィールドワークのリスクを背負うために保険や人的コストが膨大になり、結果的には採算が合わずフィールドワークが成り立たない。
私はフィールドでのリスクを提供者と参加者の相互責任で実施するために、前述の提供者側の質の向上は言うまでもないが、
●参加者にもリスクの存在を知っていただき、その防衛的対応力や心構えを持っていただく。たとえば、プログラム案内にリスクや参加装備などを記載し、プログラムの初めに存在するリスクや参加者でできる回避方法を伝えること。
●オウン・リスクの意識を広げるためにもファーストエイドなどの安全に対する講習会の受講を勧める。
など業界としてサービス提供側の安全に対する責任(指導者のレベルや安全に対する心構え)を管理し、参加者自身の責任も明確に伝えていく努力をするべきであろう。
CNAC理事 山中 康司・NPO法人 日本安全潜水教育協会 会長