第133号「NPO法人PACI国際海洋自然観察員協会・学生部の紹介」菅原茂

第133号「NPO法人PACI国際海洋自然観察員協会・学生部の紹介」2017.10.27配信

 PACI学生部とはフィールドでの活動リーダーを務める人々です。でも、まずはPACIの紹介から始めます。
PACIは2002年、東京都からNPO法人認可されました。三宅島に半世紀にわたり在住しておられた環境教育・研究者・ジャック・T・モイヤー先生を顧問としてお迎えし、著書「イルカ・ガイド入門」を教則本とし、「PACIインタープリター入門」講座を開始しました。
 東京コミュニケーションアート専門学校を始め、大阪・福岡・名古屋・仙台と提携し、現況年間約250名に教授し、15年間で受講者は5,859名に達しました。そのうちの約1,500名は水族館へ就職し、現在でも約500名は現場で活躍しております。数名はイルカ飼育部門のリーダーとなっており、一人水族館・館長も誕生しました。その他、小笠原・沖縄・三宅島・御蔵島・知床などフィールドの第一線でインタープリターとして活躍している卒業生も多数おります。今年銀座のソニー(日産自動車の展示ある4丁目サッポロビールビル)で写真展をした写真家・高縄奈々さんもそのうちの一人です。

 さて、PACI学生部の活動紹介です。①夏に子供たち十数名を連れて、キャンプをしました。今年はCNAC「海辺の環境教育プログラム」の助成を受け、南房総市・大房自然の家(CNAC副代表・神保氏が所長の施設)にて実施しました。②キャンプ前にCNAC海あそび安全インストラクター養成セミナーへ数名参加し、③参加者は1年生へ講習で学んだことを伝えました。④小学生の子供たち数名を連れ日帰りの自然体験プログラム(野鳥観察・砂浜の宝さがし・フォトフレーム作りなど)を実施しました。⑤PACIオリジナル・環境教育・出張授業「イルカのKちゃん」・・・人間の出した釣り糸のゴミによりなくなった子イルカの絵本朗読をメインに、イルカクイズなどを小学校へ行き実施する授業です。2004年より学生のボランティアにより開始され、今までに33校、受講生は2,600名を超えました。⑤年に一度、葛西臨海公園・東なぎさ「クリーン大作戦」に参画します。⑥日本エコツーリズム協会・全国学生シンポジウム@東京大学へ参加します。これは詳しく紹介したいので、次項へ書きます。

 「ホエールウォッチングなど自然体験活動は、訪日外国人旅行者数の向上に有効か。」と題し、当初パネル展示で申請しましたが、事務局よりホールでの研究発表9例の一つに推薦されました。発表要旨は「2020年東京オリンピックに向けて訪日外国人旅行者数を現況の倍の4千万人とする政策について、ホエールウォッチングなど自然体験活動も貢献できるのか、その道を開発することが活動目的です。
調査内容として、PACIの関係あるホエールウォッチング業者へアンケートをとり、海外のお客様はどのくらいの比率を占め、どの程度伸びているのか。実際に学生たちも知床、三宅島、小笠原、銚子、座間味、能登島など国内10か所のフィールドに出向いて調査を行いました。結果、①1988年から始まり、以降十数年にわたり海外比率5%以下であったマーケットに、知床・座間味・三宅島と海外比率10%を超え、30%に至る業者も出現していることが分かりました。②海外比率が急増しています。しかし、倍増するのは難しいです。③そこで、学生たちは提案してきました。新たなマーケット「東日本でのイシイルカ・ウォッチングの開発」です。しかも、2020東京オリンピックのテーマ「復興」にからめて。背景は、イシイルカは日本最大のイルカ漁、ピーク時1万3千頭以上を捕獲していました。しかし、3.11以降(3千頭ぐらいに)激減しています。イシイルカは魅力的なイルカです。何より水族館では飼育できないイルカであり、ビジネス的にも期待があります。・・・おかげさまで、この発表は成功し、何名かの大学教授から興味深い発表だったと高い評価をいただけました。

 しかし、今年度は残念ながら東日本の調査できませんでした。岩手県の山田町は東京から盛岡まで新幹線、そしてその後バスで2時間かかります。遠いのです。そして、経費が掛かるのです。でも、やりたい・・・そんな時、CNACのメールから素晴らしい助成金・情報が・・・先日、提出しました。「イルカ・ウォッチング@山田町・観光資源開発プロジェクト」と題して・・・総額1,900,000円・3年にわたる活動です。ポイントは「イルカ・ウォッチングを地元観光資源に開発し、定着させることが目的です。試算:『山田町の現況と課題』レポート山田町の観光入込数の推移・平成26年度318千人です。 ⇒(日本エコツーリズム協会調査・エコツアー参加比率)3%がイルカ・ウォッチングへ参加したら約1万人です。・・・@8千円x1万人=8千万円・・・十分ビジネスとして成り立ちます。これは直接収入。その他、宿泊・お土産・飲食などを含む総合的な地元経済への効果は2億円以上のものが期待されます。」
来年の2月、助成金の審査結果が楽しみです。

 最後に、今年度の全国学生シンポジウムは「自然体験活動は、環境教育に有効か。」と題し申請しております。副題はCNAC『海あそびレシピ』環境教育プログラムへプラスα(隠し味の提案)です。乞うご期待願います!!!


CNAC理事/NPO法人PACI国際海洋自然観察員協会 代表理事 菅原 茂
http://npopaci.jimdo.com/

2017年10月24日|キーワード:教育