第14号「事故を未然に防ぐ運行規定」山中康司

第14号「事故を未然に防ぐ運行規定」2007.11.30配信

 昔見た映画でジェームズボンドがウエットスーツを着て水中からあらわれ、スーツを脱ぐとその下はタキシードという設定があった。子供心にウエットスーツを着ていれば濡れないのだ?と思っていた。

 ウエットスーツはスクーバダイビングを行うときには必修のアイテムだが、最近ではスノーケリング愛好者の間でも随分ウエットスーツを着るようになってきた。ウエットスーツは浮力もあるので溺れを防ぐ一助になるし、保温性の面でも怪我を防ぐ面でも、もっとウエットスーツの着用する習慣が広まってほしいものだ。

 私が活動している伊豆半島は一年中ダイバーが訪れる世界でも有数なダイビングのメッカである。しかし水温の変動が激しい。(2~3月がもっとも低水温で13~14度になり、最も高温になるのが、8月の中旬から9月の間で25~6度近くになる。)

 ダイバーは6月から10月くらいまではウエットスーツで潜るが、その前後の季節は、ドライスーツという全く濡れないスーツを着用する方が圧倒的に多くなる。ジェームズボンドの世界が普通に実現しているのである。もちろん冬でも厚みのあるウエットスーツで潜る方もいなくはないが、海から上がって頭だけをシャンプーし、スーツを脱げばおしまいというドライスーツスタイルの方が明らかに楽である。

 ドライスーツが普及したおかげで、冬場の生物の観察がじっくりできるようになった。結果として1年を通じでその海域を見続けるダイバーが増えたことになる。自然を観察する上で、通年変化を観察できるのはとても重要であるし、何よりも楽しい。

 スノーケリングの世界でもウエットスーツがもう少し普及すれば、夏だけに限定していたスノーケリング教室がもう少し長くできるようになるかもしれない。スノーケラーが年間を通じで潜るようになるのには、難しいのかもしれないし、意識の変革に長い年数がかかるだろう。それでも、じっくり腰を据え、海遊びでウエットスーツの普及に取り組みたいものだ。

NPO法人 日本安全潜水教育協会(JCUE) 山中康司

2007年11月30日