第57号「極楽鳥海人」2011.6.24配信
NPO法人酒田みなとまちづくり市民会議の佐藤一道です。
山形県の海岸線はおよそ110kmと全国でも短いほうだそうで、その半分以上が砂浜で覆われ海藻類が付着する岩礁が少ないところです。
海岸まで稜線を伸ばす鳥海山の高さは2236m。
空気が澄み切ってよく晴れた日に山から海を望む景色は見事です。沖合い39km離れた飛島は鳥海山が噴火したときに飛んでいって出来たという伝説があります。
島が形成された話が諸説ある中で、この説を信じようとする地元人が多いのは常識人が少ないのか、ロマンチストが多いのかこれもまたわかっていません。
海中に湧き出る鳥海山の伏流水は岩場が多い遊佐町吹浦(ゆざまちふくら)の「岩ガキ」を豊かに育んで旨みを一層引き立てるのです。
大きな岩ガキを口いっぱいにほおばって、口の中にまとわりついた海のミルクと旨みをきりっと冷えた地酒で潤す。悲鳴があがるほどウマイ!
極めて楽しく過ごす鳥海の人「極楽鳥海人」の海を担当する私は地元漁師と仲良しです。季節が近づくと潜水道具の手入れや相談に私が経営しているダイビングショップにやってきます。漁師達とのつきあいは10年前に亡くなった父が率いていたダイビングのクラブチームが大規模な水中クリーンアップを地元漁師と一緒に活動したことが始まりでした。
その頃70歳近かった潜り漁の親分は今も現役。高齢化と後継者不足に悩む漁業業界ですが、吹浦の漁師は多くの若者が父親と船に乗り込み次の担い手として頼もしく成長しています。
その吹浦の海も磯焼け現象と砂の堆積が進行し、藻場が減少し続けています。私は今、岩ガキやあわびで収益を得ている素潜り漁師たちと藻場再生活動を展開中です。
私は父の影響を受けてダイビングを始め、漁師達の役に立ちたいという想いでダイビングショップの経営を始めました。遊び以外、海の知識に乏しい私は、極楽鳥海人や酒田みなとまちづくり市民会議といったNPO活動を通してCNACの関係者達と出逢いを繰り返し、地域活動と藻場再生活動の近道を示していただきました。
今月14日、親方連中と若者と一緒に近隣の漁港から分けてもらった大量の海藻を母藻として実験水域に固定しました。藻場再生事業はあと3年続きます。真っ白になった岩場を豊富な海藻とあわびと岩ガキで埋め尽くすことを夢見て若い漁師たちと一緒に私も成長したいと思うのです。
会員のみなさん。今年9月に海から山頂までカヤック、自転車、ハイクでつなぎ、自然の循環を考えるイベント「鳥海山シートゥーサミット」というイベントが開催されます。
このイベントをもって山形県の海、山、人の魅力がすべて体感し、アナタも極楽鳥海人となれるはずです!ぜひ鳥海山から海を望み、地元料理と地酒に悶絶してみてください。
NPO法人酒田みなとまちづくり市民会議 佐藤 一道