第35号 2009.8.28配信
今回は羽田空港の沖合展開に伴って整備されている浅場についてご紹介します。
これは、昭和50年~平成4年に造成された800haの埋立地の周囲に、延長約7km、
幅約350mの浅場約250haが昭和63年~平成12年に東京都で整備されました。
浅場は水質浄化、生物の産卵・成長の場、藻場の形成にとても重要な役割を果たしております。
東京港埠頭株式会社においては都からの委託を受けて浅場の維持管理を従前から行ってきており、現在、①海底耕耘による底質改良試験、②アマモ藻場の造成と観察調査を行う藻場造成試験、③アサリの稚貝の放流、④体長10cmクロイソの稚魚の放流、⑤水温、塩分、酸素量といった水質、底質調査、⑥桁網、アナゴ笯、三枚網、延縄を用いた魚類生態調査 を、毎年、実施しています。
その結果としては、「藻場造成では、アマモの伸長や株の増加も見られて実質的に繁茂している」、「標識タグを付けた放流クロイソの採補数は羽田沖周辺で増えており、ここに定着しているものと思われる」、「魚類の生態としては、マハゼ、ボラ、コノシロの増加が顕著となっている」といったところです。
東京湾の再生を目指し、その小さな一角での取り組みでありますが、平成13年に都市再生プロジェクトとして設置された東京湾再生推進会議(7都県市+国土交通省、農林水産省、環境省)は初めて関係者が一体となっての取り組みとして動き出したものであり、私も関係者として参画しました。多くの人の地道な努力の積み重ねで東京湾が再生できることを祈念しております。
CNAC理事 岩瀧 清治 ・ 東京港埠頭株式会社 常務取締役