第2号 2006.11.24配信
今回のコラムを担当します。海野義明です。
いつもは海に関することを、気合を入れて熱く語るのですが、この度は最近読んだ胸打たれる、う~ん感動!の本を紹介します。もう多くの方は読まれたかもしれません。書店の環境・生活関係書棚の前面に一面にヒラ積みになっていたり、新聞等のコラムでもたびたび紹介されています。
その本は「ハチドリのひとしずく」です。
この物語は、南米・アンデス地方の先住民に伝わる民話を紹介したものです。
燃えさかる森から、動物たちがわれ先にと逃げていく中、小さなハチドリがくちばしで一滴ずつ水のしずくを運んでは火の上に落としていきます。動物たちはそれを見て、「そんなことをしていったい何になるんだ」といって笑いますが、ハチドリは「私は、私に出来ることをしているだけ」というお話です。
「一人ひとりができることをやっていこう」とのメッセージがこめられています。
解説の中で、監修者でこの物語を日本に紹介した辻信一さんと、挿絵をかいた、カナダ先住民ハイダ族の画家マイケルさんは、「他の動物たちは、子どもを守るために避難したり、気がつかなかったり、知らなかったりしただけなのかもしれない」、「怒りや憎しみに身をまかせたり、他人を批判したりしている暇があったら、自分のできることを淡々とやっていこうよ」と。
中文では、ハチドリの物語の中の「燃えている森」は、地球のことなのだと考えることができる。
どうしたら冷やすことができるのだろうか。と、問いかけ、多様な人物のインタビューにも示唆するものが多くちりばめられています。
また、「燃えている森」それは、世の中を覆っている無力感のもやのことかもしれません、とも。
海に向かい合ってきた私たちが、私たちにできることを一つ一つ、一人一人地道に行動していくことの意義を再考させられました。
海のすばらしさ、大切さを伝えていくとともにこの勇気の出る本の紹介もぜひしてほしいと思います。
まず、今年のクリスマスプレゼントにいかがでしょうか。渡した人がもし持っていれば、次の人に、そしてまた、次の次の人に。そうやって多くの人に読んでほしいと思います。
まず私はこの冬に、子どもたちと。
オーシャンファミリー海洋自然体験センター 代表理事 海野義明
http://oceanfamily.jp/