第116号「鹿児島の「くすの木自然館」です」2016.5.27配信
「くすの木自然館」として事業所を立ち上げ、鹿児島県を中心に活動を始めて22年目の夏を迎えます。鹿児島県は南北にとても長く(600kmもあります)、しかも県土のほとんどが海域です。火山とサンゴと黒潮と、常緑の照葉樹の森。温帯から亜熱帯と自然生態系も独特でそこに築き上げられてきた人々の文化も驚くほど多様です。そんな、鹿児島の事は鹿児島が好きでたまらない人々の手で守り、伝えていこうと「くすの木自然館」は22年前、小さな根を伸ばし始めたのでした。
21世紀に入る頃、活動の拠点を現在の重富海岸に移しました。約3万年前の姶良(あいら)カルデラの大噴火の後に黒潮が入り込んでできた、世界でも珍しい活動中の海底火山を持つカルデラの海の北西のふちに重富海岸はあります。鍋(寸胴鍋)の意味を持つカルデラの海に奇跡的にできた53ha重富干潟と、深海や海底火山、サンゴ礁、藻場、岩礁など、流氷の海以外ないものはないという、不思議で雄大な錦江湾を目の前に「霧島錦江湾国立公園 重富海岸自然ふれあい館」の管理運営を日常の仕事にしています。
見とれるほど美しい錦江湾で仕事をしているので、スタッフはできるだけ職場を離れたくないと思っているのですが、干潟や錦江湾以外のフィールドでの野鳥の調査や、講演、講座の講師など依頼があれば県外まで出ていくことも多く、外の現場から帰ってくると、自分たちの職場がどれほど素晴らしいフィールドにあるのかをしみじみと実感します。
そんな鹿児島の海や森や、そこに棲むすべての生きものたちが、これから先もずっとずっと、いい関係であるために「くすの木自然館」でできることを伝え続けたいとスタッフ一同、日夜奮闘しています。地球でここだけの風景を、ぜひ、見にいらしてください。
くすの木自然館HP 重富海岸自然ふれあい館HP
特定非活動法人くすの木自然館 代表理事 浜本奈鼓