第114号「CNAC実働10年」2016.3.25配信
海に学ぶ体験活動協議会(CNAC)は、平成18年5月に任意団体として活動を開始し、平成28年で10年目を迎えます(NPO法人認可は平成19年5月)。設立以来、健全で安全な海辺の自然体験学習の普及をめざし、様々な活動に取り組んできました。
海辺の活動では、安全が最優先であることから、子供向けの「海あそび安全講座」と指導者向けの「親子海あそび安全講座」の安全小冊子を作成し、希望者に無償で提供しています。さらに、市販のペットボトルに装着することにより、すぐに救命具として使用できるレスキューキャップの開発、販売を行っています。
また、海辺の体験活動の安全な普及を図るためには、指導者の育成が不可欠であり、CNAC海あそび安全講座インストラクター養成セミナーを毎年開催しています。このセミナーの受講者は、地元で自らが講師となり、CNAC海あそび安全講座リーダー養成セミナーを開催するなどして海辺の体験活動のすそ野を広げています。
これらの活動実績を現時点で総括してみます。
・小冊子「海あそび安全講座」 35,646部配布 (平成21年より)
・小冊子「親子海あそび安全講座」 13,449部配布(平成21年より)
・レスキューキャップ 販売個数 2,408個(平成23年より)
・CNAC海あそび安全講座インストラクター養成セミナー参加者 31人(平成23年より)
・海辺の達人養成講座参加者 全国6箇所、61名(平成23年より)
この10年間で、CNACにとって、平成23年3月の東日本大震災は大きな衝撃でありました。子ども達を中心に「海は怖いもの」と海離れが加速し、本来の海と人間とのかかわりが希薄になってきてしまいました。また、CNACは団体正会員が減少し、NPOの全国組織として活動の見直しが必要になりました。
このため、平成25-27年度の三か年「皆で汗かく三つの広げよう運動」(・仲間を広げよう・活動を広げよう・感動を広げよう)をキャッチフレーズに様々な事業に取り組んできました。
新たな外部資金(セブン-イレブン記念財団助成金)の獲得や繰越予算の取り崩しにより事業規模を拡大し、安全小冊子を刷新、増刷し、配布しました。新たな活動として、環境分野での活動を強化し、環境教育活動への助成の創設や環境プログラムの学習会を開催し、海辺の環境教育プログラム事例集を作成しています。
また、CNAC設立以来毎年開催している全国フォーラムについては、発足当初は東京と唐津や小樽などの地方開催が交互でしたが、事務局準
備や参加者の利便性の関係から、いつしか東京開催が固定化してしまいました。やはり地域の実際の活動を知ることが重要であると考え、地元で活動している皆様の参加を得て、H25年度横浜、H26年度豊橋、H27年度館山で開催しました。現地で苦労、工夫しながら行っている様々な活動報告やシンポジウムを通じて多くの気付きを得ることができました。
本年3月をもって、「皆で汗かく三つの広げよう運動」は終わります。運動期間中、地域の様々なNPO活動の実態(本音)を知り、地域の海辺の自然体験活動へのニーズは非常に高いことがわかり、大変有益でしたが、残念ながら会員増には結びつかず、CNACの活動がより充実したものになったとは、言えません。
さる3月15日に開催された平成27年度第3回理事会では、新しい三か年計画が議論されています。平成25年4月の制定された海洋基本計画に基づく海洋教育の推進や自然体験活動推進法の議員立法化の動きなど、今まさに自然体験活動を国民や子ども達に定着させる時期になっていると思います。まさしく海辺の自然体験活動を実践することが何よりも重要です。
現在、検討中の「実践するCNAC三か年計画(H28-30年度)」では、これまでCNACの培ってきたノウハウを如何に実践するか。その際、将来を担う子どもと接する機会が多い教育関係者や行政関係者などと如何に連携を図っていくのか。さらに、このような活動を本年3月にリニューアルしたCNACのHPやSNSなどの活用により、如何に伝えていくかがポイントになると思っています。
次期三か年計画は5月30日(月)15時から国立オリンピック記念青少年総合センターで開催されるCNACの年次総会で決定されます。総会に合わせて講演会も予定していますので、多くの皆様の参加をお待ちしています。
私個人としては。平成18年に国土交通省港湾局環境整備計画室長としてCNACの誕生に携わり、現在は3期目の理事を務めており、ずっとCNACの活動にかかわってきました。コラムの結びに当たり、CNAC活動10周年の節目の年に千葉県館山市で開催された第10回全国フォーラムのシンポジウムの結びを掲載します。
「まだまだ10年!CNACは、これからも海辺の体験活動の普及を目指して真に本物の情報を発信していきます」
(森川 雅行 2016.3.22 記)