第111号 秋實範浩

第111号 2015.12.25配信

特定非営利活動法人リバーシブル日向の秋實(あきみ)です。
リバーシブル(River-Sea-Able)の造語で「川・海の様々な可能性を探ろう」ということで法人名にしました。
 
 さて、暖冬といわれる今冬ですが、地域によってはストーブ・暖炉に火が入っていることと思います。宮崎県でも、山間部の五ヶ瀬町や霧島えびの高原のホテルでは暖炉に火が入ったとのニュースが聞こえてきました。
 ストーブ・暖炉の炎・・・見ているだけで何となく心が落ち着いていいですよね。
 炎・風・小川の流れ・うちよせる波そしてモーツァルトの曲等々の「揺らぎ」は視覚・聴覚で感じる「1/f揺らぎ」と言って呼吸のリズム・血液の流れと同じリズムらしいです。
 炎といえば「焚火」
 子供のころ川・海が遊びの場でした。
 夏休みになると朝、母親におにぎりを2つほど握ってもらい、ナップサック(昔はデイバッグとは言わなかった・・・)に肥後守とマッチを放り込んで日がな一日遊んでいました。
肥後守とは折り畳み式の小刀で箸を作ったり竹串を削ったり、捕まえた魚をさばいたりと、とても大切なアイテムでした。(昭和30年代の小学生の「ふでいれ」には鉛筆を削るために必ず入っていた小刀でした。ネットで調べたら現在も通販で購入できるようです。)
マッチは火を起こして海・川で捕ったサザエやアワビそして魚を焼いたり、冷えた体を焚火で温めたりするのに必需品です。
 目いっぱい遊んで日暮れに帰ると、子ども心に家の灯りが有難かった。
そんな懐かしい記憶があります。
 こんな経験を今の子どもたちにも体感してもらいたくて、当法人では小学生を対象としたキャプテン牧水の「夢人島探検隊」を実施しています。
ふるさとの自然と酒をこよなく愛した「郷土の歌人若山牧水」を当法人のキャラクターとして使用し冠した3泊4日の自然体験・里海環境教育キャンプです。
 かどがわ湾内にある無人島(乙島)で3泊4日のプログラムで実施し、2011年からはじめて、今年で5回目の開催となります。
 キャンプ最後の夜、キャンプファイヤーとして班別に焚火をさせます。
「スタッフは一切手を出さない、口を出さない」を前提に「協力して各班ごとに焚火をしなさい」とマッチ(20本入り)と懐中電灯(1個)だけ配ります。
  炊事当番を経験し、やれるつもりになっている子ども
  他のキャンプでキャンプファイヤーを体験している子ども
  マッチを擦ることも初めての子ども・・・いろんな個性が集まって班を作るわけで
  焚き付けばかり燃やしてすぐに火が消える班
  大きな薪に直接マッチで火をつけようとする班
  薪をあつめて、井桁型に組んで火のついたマッチを放り込む班
  班のメンバー同士意見が合わず、あわやけんかになりそうな班  等々
いろいろとやってみたが火が起きず、マッチも残り少なくなってきたところでスタッフからのワンポイントアドバイス
「最初は小さな炎から、その炎を少しづつ大きく育ててゆきます。
炎を育てるには、人と同じように食べ物と空気が必要です。」
と炊事当番のスタッフの指示を思い出してどうにか薪に火が付き始め、炎が安定したら班別に
焚火を囲んで車座に座り、スタッフも加わり炎を眺めます。
そして静かに話し始めます。
「地球上で火を扱うことができるのは人間だけです。
人間は火を扱えるようになったから文明を築くことができました。
火は人の扱い方次第でどうにもなります。
いい加減に扱えば、家を燃やしたり森を焼いたりします。
また、火をいじめると火の逆襲でやけどをしたりします。
でも、優しく扱えば料理してくれたり、体を温めてくれます。
自分たちで育てた火だから、くべた薪は完全に燃やしてあげましょう。」
 後は、静かに炎をみつめながらキャンプ中の出来事、思い出などをお互いに話し合います。
 焚火が終わったところで、1日の終わりとなります。
 昨日までは消灯してもなかなか寝付かなかったのが、炎の揺らぎで落ち着いたのか3日間の疲れなのか寝付くのが早いです。
 皆さんのキャンプでも「火おこしプログラム」はいかがですか!?
 IHクッキングヒーター、セントラルヒーティングの普及で家の中から炎がなくなりゆく昨今、
こういう機会に炎を体感させてあげたいですね。
さて温暖化の影響か?気温が平年より高くなっていますが、これから寒くなり火が恋しい季節になります。
 
CNAC会員の皆様
火災にはくれぐれもお気を付けられて、また、お体にもご自愛ください。
「目から火の出る所帯はしても
火事さえ出さなきゃ 水いらず」 (都々逸By諸口あきら)

                                        合掌
特定非営利活動法人リバーシブル日向 理事長 秋實範浩
http://riverseable.com/

2015年12月25日|キーワード:キャンプ