第232号「海業時代における「海の体験活動」の方法と価値創出 ~第3回海業推進全国協議会と第20回CNAC全国フォーラムin小樽を踏まえて~」2026.1.31配信
水産庁が推進する「海業(うみぎょう)」は、漁港・漁場を生産拠点としてだけでなく、多様な主体が関わる地域資源として再定義する政策です。また、国土交通省が進めてきた港湾の利活用や賑わい創出の流れとも重なり、港は今、「管理するインフラ」から「使いこなされる社会資本」へと大きく転換しつつあります。2026年1月に水産庁で開催された第3回全国海業協議会において、私は「漁業体験の実践とポイント~プログラム、安全管理、指導者育成や体制づくり~」をテーマに講演の機会をいただきました。そこで強調したのは、体験活動は観光的な付加要素ではなく、漁港・港湾の公共的価値を社会にひらくための実装手法であるという点です。ハード整備や制度設計だけでは、人と海との関係は持続しません。現場に入り、理解し、関わり続ける人をどう育てるか。その答えの一つが、体験活動にあります。
CNACが全国で蓄積してきた海の体験活動は、港、磯や干潟、船舶といった物流・漁業インフラを、教育、交流、人材育成の場として活用してきた実践の集合体です。これは、PPP/PFIや多面的機能、6次化などと本質的に親和性の高い取り組みだと言えます。
2025年11月に開催した第20回CNAC全国フォーラムin小樽では、CNACも協力している「おたる海の学校」が、海業の先進事例として共有されました。おたる海の学校は、漁港や海岸を単なる見学の場ではなく、地域の産業や管理の現実も含めて学ぶ“実践の場”として位置づけています。こうした取り組みは、施設整備の効果を高め、地域外の人材や関係人口を呼び込む土壌を形成します。
新年度に向け、海業関連の補助事業やモデル的取り組みが各地で検討されていく中で、体験活動の担い手が果たせる役割は、今後さらに大きくなるはずです。既存の漁港や港湾施設を前提に、「何ができるか」「誰と組めるか」「どのような学びや関係を生み出せるか」。こうした視点を持つ現場人材の存在が、事業の実効性を左右します。
CNACは、そうした人材と方法論をすでに全国に有しています。次の段階では、それぞれの会員が自らの地域で、行政や関係機関との対話を深め、海業の具体像を形にしていくことが求められていると感じています。
海は、整備するだけでは活きません。使い、学び、関わり続ける人がいてこそ、その価値は更新されます。海業時代において、その接点を現場から支える存在として、CNACと会員の知見が活かされる局面が、いよいよ本格化しようとしています。
CNAC副代表理事/(株)(株)沿海調査エンジニアリング代表取締役社長 大塚英治
https://isewanforum.org/
2026年1月31日|キーワード:全国フォーラム、漁業



