第230号「今年も能登の海で子どもキャンプを行っています」成田裕

 

第230号「今年も能登の海で子どもキャンプを行っています」2025.11.28配信

震災の影響で、道中の道路やキャンプ場はまだ十分に復旧しておらず、移動も決して楽ではありません。建物が使えない場所も多く、施設としては万全とはいえません。
それでも、能登の海が放つ雰囲気や魚影の濃さ、目の前に広がる雄大な景色は、ここに来た子どもたちの心を確実に掴みます。

10年以上にわたり子どもキャンプでお世話になってきたこの地で、今年もキャンプを開催できることに、心から感謝しています。また、被災地支援をいただいたおかげで、今回のキャンプが実現し、ガイア自然学校の活動を続ける力にもなっています。

能登には、いつかまた訪れたいキャンプ場が数多くありますが、復興が追いついていない場所も多いのが現状です。今も営業を続けているキャンプ場は本当に奇跡のような存在で、これからも守り続けたい場所です。

道中に広がるぐにゃぐにゃの道路、えぐれた路肩、ぶら下がったガードレール、崩れた山肌…。地震の爪痕を目の当たりにすると胸が痛みますが、一方で、ここまで通行できるように復旧してくださった人々の努力に心から尊敬と感謝の気持ちが湧いてきます。
壊れた漁港や津波の影響で姿を変えてしまった海岸線もありますが、それでも海の中には、以前と変わらず美しさを保つ魚や生き物たちの世界が息づいています。

そして何より、この海の魅力を一番ストレートに教えてくれるのは、子どもたちの声です。

「釣れた魚、大きかった!夕ごはんにして食べたの最高だった!」

「SUPで島まで行けるなんて思わなかった!海の上を歩いてるみたいでドキドキした!」

「スノーケルで見た海の中がきれいすぎて、ずっと潜っていたかった!」

こんな言葉が次々と飛び出してきます。
自然の中で感じた驚きや喜び、その一瞬のキラキラした表情を見るたびに、私たちも「この能登の海を伝え続けたい」という思いを新たにします。

不便さや大変さがあっても、能登の海で子どもたちが過ごす時間は、何にも代えがたい宝物です。
海でのいろんな体験のひとつひとつが、子どもたちの心に「自分で見て、感じて、世界を広げる」という力を育んでいるのだと感じます。

この美しい海とつながる体験は、ただ楽しいだけではなく「ずっと大切にしたい」という気持ちを子どもたちの中に静かに灯してくれます。
そしてその灯りは、キャンプが終わったあとも消えず、日常へ戻る彼らの中で、自然や地域に対するやさしさや関心となって生き続けて欲しいと願っています。

これからも能登への復興支援、ご協力お願いいたします。

NPO法人ガイア自然学校 代表 成田裕
https://gaia-natureschool.com/

2025年11月17日|キーワード:震災、体験