第225号「海辺の自然体験はおもしろい!」三好利和

 

第225号「海辺の自然体験はおもしろい!」2025.6.27配信

幼児から小学生を対象としているワンパク大学の月例の活動で、毎年、6月は神奈川県葉山町の芝崎海岸へ、磯の生き物観察に出かけています。もう20年以上、毎年通っています。ワンパク大学の活動は、海辺での活動だけでなく、森の探検をしたり、広い原っぱや公園での活動もあります。毎回、思うのは、磯の生き物の多様性と個体数の多さです。芝崎海岸は近くに葉山の御用邸があるために、昭和天皇が生き物調査に通っていた場所であり、新種も発見されているような場所です。結構な広さの磯場が広がっており、幼児でも、安全に観察ができる磯になっています。毎年参加している子どももいれば、今年初めて参加する子どももいます。どの子どもも磯に入るなり、歓声をあげています。今の子どもたちの特徴は知っていることは多いけれど、自分の目で本物を見ることがあまりないということです。画像等で見た事のある生き物が目の前に、現れると、まずは一様に驚きます。しかも動くのでなおさら驚いています。カニも何種類もいますが、ここでまず探す生き物はヤドカリさんです。貝をおうちにしているヤドカリを見ていると、最初は貝の中に閉じこもっていたのが、少しずつ出てきます。ここにいるヤドカリは3種類といわれています。ひげの色や模様が違うのです。次にウニも探してみます。岩を持ち上げるといくつかのウニがくっついています。紫ウニを手のひらにのせて、しばらくして手のひらを下に向けると、なんとウニが手のひらに引っ付いています。小さな触手を出して、しっかり手のひらにくっつくのでした。大小のナマコも発見します。恐る恐る触って、 つかんでみると、ピューと水を吹き出します。自分の体に取り込んだ海水を防御のために噴き出したのでした。アメフラシにも出会います。もう一つ毎年出会うのが岩のように見えるタツナミガイです。貝なのですが、見た目はグロテスクで、アメフラシもそうですが、押すと紫色の液を出して、一面が紫色に変わります。子どもたちがよく知っているカニよりも人気でした。毎年通っていると生き物の種類に変化が見られます。
温暖化の影響や海藻が減ったことが原因のようですが、ここ数年イソギンチャクの数が極端に減っています。よく見られていたウミウシも見つけられなくなりました。今年は1匹だけマダラウミウシを見つけることが出来ました。
磯での生き物観察では、森の生き物観察よりも必ず多くの種類の生き物に出会い、個体数もたくさん発見することができます。したがって、子どもたちも夢中になっていろいろな生き物を探し、しっかり五感を使って、生き物と親しんでいました。主体的な行動も増えていきます。この体験は海辺ならではないでしょうか。また見つけた生き物は観察が終わるとすぐに元のすみかに戻してあげることも徹底しています。「生きている」ことも体験できる大切な機会と考えています。
先月は川の生き物観察でしたが、子どもの成長にとって、人以外の生き物、野生の生き物とのふれあいは不可欠な体験ではないでしょうか。これからも貴重な体験の場を子どもたちに提供していきたいと考えます。


CNAC代表理事/野外教育事業所ワンパク大学 代表 三好利和
https://wanpakudaigaku.jp/

2025年6月25日|キーワード:生き物、体験