第194号「第17回CNAC全国フォーラムin塩釜に参加して」森川雅行

第194号「第17回CNAC全国フォーラムin塩釜に参加して」2022.11.25配信

 コロナ禍の影響で、3年ぶりの対面形式(リアル)で11月19日CNACの全国フォーラムが松島湾を眼下に見据えるマリンゲート塩釜で開催されました。テーマは東日本大震災から10年余経過したことから、「私たちと海~それぞれの10年とこれから~」として東北を中心に活躍されている方々から事例報告とパネルディスカッションを行いました。
身近な釣りを媒介として魚の放射線測定を実施し、風評被害の払拭に務めているアクアマリン福島の獣医師の富原 聖一さん。肩肘張らずにモニタリング調査を継続し、食も含めて仲間を増殖。
ラムサール条約に登録されている志津川湾を中心に現地の子どもたちと環境を通じてお互いを高め合っている南三陸ネイチャーセンターの阿部 拓三さん。子どもたちの、森と海の連携の重要性の理解や素晴らしい壁新聞に拍手。
津波によって根こそぎ失った松島湾のアマモを復活された松島湾アマモ場再生会議の阿部 徳和さん。再生ノウハウゼロから多くの学びにより夢を実現途上。
地元の声に耳を傾けつつ一日も早い復興に努めている復興庁宮城復興局の中島 洋さん。
会場から防潮堤の高さの問いかけにもソフトにわかりやすく解答。
それぞれの発表には、地元で様々な問題を抱えながら活動を行っている人ならではの思いが込められており、参加者に多くの気づきを与えてくれました。
私はCNAC創設時に国土交通省の担当室長としてかかわりました。CNACの第1回全国フォーラムは、NPO法人認可を間近に控えた2007年1月、代々木のオリンピックセンターで1泊2日のプログラムで実施されました。100名以上の参加者の熱気を今でも忘れられません。CNAC発足当時は40を超える正会員がありましたが、設立当初はNPO活動自体の創生期でもあり、活動助成への過度の期待や他団体の様子等で熱気は長く続かず、CNACの会員は減少していきました。
そうした中、2011年に東日本大震災が発生し、子どもたちを中心とした海離れへの懸念や会員数の減少の危機感から、CNACは2013年度から「皆で汗かく三つの広げよう運動」等の一連の3カ年計画を実施し、近年のコロナ禍を経験し、NPO活動はCNAC設立当時とは大きく様変わりしました。
当日のパネルディスカッションで話題になりましたが、活動の資金難や後継者不足の悩みは相変わらずですが、NPO自身が助成等他人頼みでなく、自立、自助を進めており、よりたくましくなっています。特に環境分野では、SDGsに繋がる活動になっていると感じています。今回のフォーラムから、困難な東日本大震災に負けることなく、地域に根ざした粘り強い活動を行っており、このことを実感しました。
全国フォーラムのパネルディスカッションでは、毎回参加者からは「NPOの素晴らしい活動を初めて知った。もっと広報してほしい」との声が上がります。CNACは今年度から「新たな連携を構築する三か年計画」に基づき海辺の環境教育プログラムを開発するとともに関係者との連携の一層の強化を目指します。様々なNPOの活動が認知されることで関係者が気づきを共有し、その活動のウイングを広げることができると思います。これら団体の活動のノウハウや成功体験を共通の財産にしていくことがCNACの重要な役割だと思います。
来年の第18回全国フォーラムは大阪で開催される予定です。粉もん文化を満喫するとともに是非感動を共有しましょう。

CNAC顧問/株式会社不動テトラ 執行役員副社長 森川雅行
https://www.fudotetra.co.jp/
2022年11月22日|キーワード:全国フォーラム、震災