第179号「地域の海と未来を見つめ直す」海上智央

第179号「地域の海と未来を見つめ直す」2021.8.27配信

 

昨年から猛威を振るう新型コロナ感染症。
CNACメンバーも活動の制限や中止、参加者への対応など、例年とは異なる日々に追われていると思います。
そのような状況の中、世界各地でコロナ禍によって観光客が減少し、 自然に変化が訪れていることが報告されています。
観光地として有名なハワイでは、観光客が減ったことで、海水の透明度が60%も改善しただけでなく、ビーチで大型魚や 絶滅危惧種のハワイアンモンクアザラシが目撃される件数も増えているといいます。
私が毎月調査している横浜市 海の公園でも、コアマモ(神奈川県の絶滅危惧種)やスナガニがたびたび見られるようになりました。どちらも普段なら人が賑わう場所で見つかったことが驚きです。
自然のオーバーユースを防ぎ、持続可能な観光が叫ばれる昨今。
意図せず、訪れる人々が少なくなった今こそ、地域の海との関わり方を今一度、見つめ直してみてはいかがでしょうか。
人と海のより良い関係を築くために、海辺で活動する 私たちはどんなことができるでしょうか。
コロナを克服した少し先の未来。
海辺ではしゃぐ子どもたちの横で、小さな生き物たちが行き交う。人も生き物もちょうどいい距離でそこにいる。
そんな海辺の光景を心から願っています。

CNAC理事/(株)自然教育研究センター 海上智央
2021年8月20日|キーワード: