第158号「海への親しみを取り戻し、次世代につなぐ~全国アマモサミット」2019.11.28配信
この度、株式会社MAcSの代表取締役を拝命いたしました。
初代代表の鈴木覺氏が設立してからの17年間で築かれてきたことを継承し、引き続きNPO海辺つくり研究会と二人三脚で、様々な行政・民間企業・市民・研究者と連携・協働して、港湾・環境関連の計画策定等に取り組んでいくとともに、ブルーカーボンやブルーエコノミー、ブルーインフラなどをキーワードとした海や川を活かしたまちづくりにおける政策立案、調査、技術検討を総合的にサポートし、新たな地域社会をつくる事業に取り組んでいきます。みなさまよろしくお願いいたします。
さて、先日、宮城県塩竈市において、「第12回全国アマモサミット2019みやぎ」が開催されました。全国アマモサミットとは、「アマモ」や「アマモ場」を象徴的なキーワードとして、海の自然再生・保全や自然を活かしたまちづくりを目指している全国的な大会です。
塩竈市での大会は、東日本大震災直後の2013年に「とりもどせ、みやぎのうみ」をテーマに開催してから2回目となります。震災は松島湾の環境は激変し、さらに人々に刻み込まれた“海の怖さ”のために“地域の人たちの海への親しみ”は遠ざかってしまいました。
前回の開催から8年間、地域の活動団体である「松島湾アマモ場再生会議」では、松島湾の生物多様性を取り戻す活動を通じて地域の人々が再び海へと親しみを取り戻す試みを続けてきました。今回の大会では、その活動の成果を踏まえて次世代へどの様に繋いでいくのかが議論されました。
地域の海への親しみを取り戻し、次世代に繋ぐことは、背景は違っていてもどの地域でも課題の1つとなっています。昨年、私も実行副委員長で参画させて頂いた「第11回全国アマモサミット2018in阪南」でも、当たり前のように存在しているがために忘れ去られた目の前の“海”の魅力や大切さへの気付きがテーマとして挙げられました。大会では、地域の誇りとして次の世代へ繋いでいくことを目指し、地域の一人ひとりが、地域の豊かさや恵みの“守り隊”として伝え、広めていくことを宣言として約束しました。この事は、阪南市教育委員会が主体となった海洋教育の推進などに繋がり、6月に開催されたG20大阪サミット配偶者プログラムの2日目に行われたシンポジウムでの子供たちの発表にも繋がりました。
今年の塩竈市での大会では、「現在の海の恵みを持続可能な形で受け続けるために、日常生活や生業により、豊かな海を守り未来へ繋げていきます」という宣言文が採択され次世代へ繋いでいくことが約束されました。
私たち大人は、自分たちの考えや行動を子供たちに押しつけるのではなく、自分たちがどう考えてどんな行動を行っているのかを具体的に示し、次の時代を担う子供たちが考え・判断していくための材料を提供していくことが大切であり役割でもあると思います。来年の全国アマモサミットは、11月に福岡市で開催されます。子供たちが次の時代で大きく羽ばたき活躍できる環境を生む、そのような大会となるように願っています。
(株)MAcS代表取締役社長 岩井克巳