第93号「海が教えてくれること、人と海のつながり」三好利和

第93号「海が教えてくれること、人と海のつながり」 2014.6.27配信

昨年、小笠原諸島の西の島沖で発生した火山活動によってできた新島が先日のニュースでは85倍に成長して、西の島をのみこんで、さらに活発な火山活動を続けて成長を続けていることが報道されました。

その映像は数秒おきに、爆発が発生し、噴煙や噴石が飛び散り、海面部には溶岩流が流れ込み、激しい水蒸気をあげていました。まさしく地球の鼓動を感じ、地球が成長を続けていることを目の当たりにすることができました。私の活動団体は伊豆七島の三宅島の人間牧場という観光施設で生まれたものです。

三宅島は2000年の大噴火以来、現在も火山活動を続けています。

三宅島も大昔、この西の島新島と同じような経過を踏まえ、何回もの噴火を繰り返し、今の大きな島になってきたんだなあと考えさせられました。その歴史の中で植物が育ち、人が住むようになり、現在に至っています。

2000年の噴火後、全島避難5年間の空白期間ができましたが、現在は2500名以上の島民が島に戻り、生活を復活させています。火山活動が続く中、島の人たちの努力、ひたむきさ、そして不安な気持ち等にも触れてきました。私自身も人生の半分以上を三宅島と関わってきました。

2000年以降は同じ火山の島、伊豆大島でも活動を続け、島民との関わりが続いています。島との関わりなくして、今の自分はないなあとつくづく感じました。私にとって、「海」イコール「島」です。

自然体験活動指導者のバイブルともいえる本があります。
レイチェル・カーソン著「センスオブワンダー」です。ご存知の方もいると思いますが、生物学者であるカーソンがその人生の後半、甥のロジャーとアメリカの東海岸の別荘で過ごした日々を綴ったエッセイです。短編ではありますが、その本の中の一言一言が、人と自然との関わりについて書かれております。

カーソンが生物学者になったのは子ども時代の海の生物との関わりがスタートでした。地球上の生き物はすべて、その起源が海の中と言われています。まさしく母なる海なのです。カーソンは、知ることは、感じることの半分も必要ではないと述べ、大人になるにつれて、減退や幻滅による嫌悪感によって、純粋な感じる心を失ってはならないとも述べています。カーソンは知識を研究する学者の道を選んだのは、幼少期から成人になるまでに多くの自然、特に海辺での生き物との出会いによって育まれた「感じる心・センスオブワンダー」によるものであります。その原体験が素晴らしい生物学者を育てたのでした。

CNACの代表として、もう1期代表理事を務めさせていただきます。三つの広げよう運動とともに、子どもから大人までの多くの人々に海辺の体験活動を普及するために努力をしていきます。皆さんも一緒に活動をしていきましょう。

野外教育事業所ワンパク大学 代表 三好利和  CNAC代表理事
http://www3.ocn.ne.jp/~wanpaku/

2014年06月27日|キーワード:島,連携